きっぷのルール

親子で楽しめる!夏休みの自由研究に「JR大回り乗車」で格安旅行

この記事を読むと、こんなことがわかります

・友達や家族と、楽しく鉄道旅行をしながら自由研究をする方法がわかります(おおむね、小学校3年生以上向け。鉄道好きの子供ならなお良し)

・格安で、ボリュームたっぷりな鉄道旅行を楽しめます
(関東なら最安で140円、関西なら120円、こども半額)

・JRの意外なきっぷのルール・仕組みを学べます

※日本全国、どこでもできる方法ではないので注意!(可能なエリアは本文を参考ください)

 

こんにちは。
鉄道旅行大好き
「てりん」(@terinn2019)と申します。

 

今回は、小学生の自由研究にも使えて家族や友達と鉄道旅行も格安で楽しめる!そんな、一石二鳥の「大回り乗車の旅」のお話です。

 

「大回り乗車」で、楽しく格安で自由研究を!

伊集院少年のリベンジを果たそう!

タレントの伊集院光さんが深夜にやっているラジオ番組で、昔、伊集院さんがこんなエピソードを話していました。

 

時は昭和50年前後。
当時山手線のとある駅近くに住んでいた伊集院少年は、お兄さんからこんな情報を耳にします。

 

「国鉄って、初乗り運賃のきっぷを買ったら、そのまま電車に乗って何百キロも旅行できるらしいぞ!」
(注:国鉄は現在のJRのこと)

 

当時(昭和50年頃)の山手線の初乗り運賃は30円だったので、子供は半額で15円といったところでしょうか。
(2019年現在は大人140円)

「たった15円で、何百キロも鉄道旅行ができる!!」

伊集院少年は、さっそく旅に出かけ、その成果を夏休みの自由研究のレポートとしてまとめて先生に提出しました。
ところが・・・。

 

「初乗りきっぷで何百キロも電車で移動するなんて!こんなのキセル行為です!」

 

褒められるどころか逆に叱られてしまい、伊集院少年は人生の苦い汁を舐めてしまいましたとさ・・・。

 

果たして、伊集院少年のしたことはキセル乗車(犯罪)だったのでしょうか??

 

ルールを逆手に取ったのが「大回り乗車」

ここで、JRのきっぷにまつわるお話を。

JRのきっぷ代は、出発する駅から目的地の駅まで、実際に電車に乗って移動した距離によって計算されます。

一見、当たり前のように聞こえますね。

 

このルール通りだと

たとえば東京駅から新宿駅へ行く時に
中央線を経由する場合と、山手線でぐるっと遠回りして移動する場合では、距離が変わるのできっぷ代も変わるはずです。

でも、駅の運賃表には、いちいち「新宿まで中央線経由の場合○○円、山手線経由の場合○○円」なんてことは書いていません。

 

※中央線経由(青い線)でも、山手線経由(赤い線)でも、東京駅から新宿駅までのきっぷ代は同じ。どうして?(見て分かるように、中央線経由が最短距離です)

 

東京駅 運賃表※東京駅の運賃表。
新宿までのきっぷ代は、200円とだけ書いてある(中央線経由の距離の値段)

 

昔は、きっぷは全て駅の窓口で駅員さんから買わないといけませんでした。
近距離のきっぷなら結構昔から自動券売機で買えましたが、それすら普及する前の時代です。

 

何線に乗るかで距離が変わり、そしてきっぷ代も変わってしまうわけですから、駅員さんはいちいちお客さんに「何線に乗っていきますか?」とたずねて確認しないといけません。

でもそんなの、駅員さんにとっても、乗客にとっても面倒ですよね。
何線に乗るかなんて、電車の混雑具合で変えることだってあるかもしれないのに。

ましてや、路線がいっぱい入り組んでいて、目的地の駅までいろんな路線を選べてしまう都会なら、なおさら面倒です。

 

そこで、こんなルールが生まれました。

 

「東京や大阪の周辺など、路線が多くて入り組んでいるエリア内では、A駅からB駅まで最短距離以外のルートを通ってもいいですよ。もし遠回りのルートを通っても、きっぷ代は最短距離で移動した場合の運賃を払えばいいですよ」

 

・・・ということで誕生したのが
旅客営業規則第157条2項というルールです。
(JRの公式サイトのリンクを貼っていますが、今読んでも意味不明だと思うので、この記事を全て読んでから見てくださいね)

 

このルールのおかげで
「東京駅から新宿へ行くのに、少しでも電車に長く乗りたいという理由で山手線に乗っても、最短距離の中央線経由のきっぷ代で済む」ことになります。

そして、それをさらに極端にしていくと
「東京駅から新宿へ行くのに、ちょっと海を見たいので房総半島をぐるっと回ってから行っても、最短距離の中央線経由のきっぷ代で済む」ということに気づいた鉄道オタクがいたわけですね。

以上のような経緯からできたのが
「隣の駅へ行くのに、わざわざ遠回りをして移動することで、鉄道旅行を楽しめる」
というのが、大回り乗車と呼ばれる旅行法なのです!

 

大回り乗車の基本ルール

大回り乗車にはいくつかのルールがあります。

ルールその1:可能なエリアは限られている

日本全国、どこでも大回り乗車ができるわけではありません。

JRが指定している
「大都市近郊区間」と呼ばれるエリアの中だけを移動する場合にのみ、大回り乗車は可能なのです。

 

福岡近郊区間新潟近郊区間仙台近郊区間※日本各地の大都市近郊区間。
札幌や名古屋などが含まれていないことに注意

もともとは「路線が多くて入り組んでいるエリア」を対象にして作られたルールなので、大都市だから必ずあるルールとは限りません。

例えば札幌市や名古屋市付近は、JRの路線の数が少なくシンプルなので、こういったルールは存在しないのです。(決して札幌や名古屋が大都市ではないと言っているのではない・・・)

 

それにしても、東京近郊区間はめちゃくちゃ広く
「東は福島県のいわき駅から、西は長野県の松本駅まで」
となっています。東京とはいったい・・・
(東京・新潟・仙台は、スイカが使えるエリアと同じになっています)

 

特急券を別に買えば、特急に乗ることも可能です。
ただし、新幹線は「そもそも大都市近郊区間に含まれていない」ので、特急券を買っても大回り乗車ができません(東海道新幹線の新大阪~米原間だけは近郊区間に含まれているので、特急券を買えば乗れます)

 

また、近郊区間内のエリアに住んでいない人も、一度普通にきっぷを買って近郊区間内の駅まで行き、そこから大回り乗車をして、再度最寄り駅までのきっぷを買って帰ってくれば、オーケーです。

ルールその2:途中の駅の改札は出られません

もし東京駅から140円区間のきっぷを買って大回り乗車した場合、最終的に改札の外に出ることができる駅は、140円区間の駅のみです(秋葉原、有楽町など)
なぜなら、きっぷは本来買った金額の区間まで行くものですからね。

なので、遠回りして群馬県まで行ったりすることは可能ですが、群馬の駅で改札の外に出て観光したりすることはできません。
(その場合は、ちゃんと正規の金額を精算して出る必要があります)

「改札の外に出られない」という縛りの中で楽しむことが大事です。
その辺はのちほど。

 

あくまでも、駅の改札を出られないだけであって
・電車を乗り換えるために駅のホームに下りる
・改札内のお店で楽しむ(東京駅などはお店いっぱいあります)
これらのことは問題ありません。

無人駅(駅員さんのいない駅)は、改札が無くホームに下りた時点で改札の外に出たことになるので、電車から出られません。(乗換駅で駅員さんがいない時間帯がある駅がありますが、その場合は乗り換えをするだけなら下りてオーケー)

 

ルールその3:引き返したり同じ駅を二度通ってはいけない

大回り乗車においての「遠回り」とは
「一筆書きになるルート」です。(くわしくはこの後の具体例にて)

二度同じ駅を通ったり、今来た道を引き返したりしてはいけません。
そのようなことをした場合は「それまでに通ったルートの距離分のきっぷ代」を請求されてしまいますので、絶対に守りましょう。

あらかじめ、ルートをちゃんと決めておき、図に書いておくことが大事です!
図は、自由研究のレポートにも使えるし、万一JRの人に「大回りのルートを教えてください」と言われたときに、すぐに説明できて便利ですよ。

 

もし大回り乗車中に車掌さんが「きっぷを拝見します」ときっぷのチェックをしにきたら、きっぷを見せて「大回りです」と伝えれば、ほぼ100%理解してくれるのでオーケーです(まれに移動ルートをたずねられるので、その場合は図を見せましょう。口頭でも説明できればオーケー)

大回り乗車の具体例(ルート)

東京駅から、お隣の神田駅へ行く場合を例に解説します。

最短距離は、山手線で一駅移動する場合。
お隣なので、その距離わずか1.3キロ。
きっぷ代は、もちろん初乗り運賃の140円です。(子供は70円)

 

※東京と神田の位置関係。
隣駅同士なので、最短なら2分くらいで行けちゃいますが・・・。

 

これを、たとえば以下のような遠回りで移動することが出来ます。

東京→(上野東京ライン)→茅ヶ崎→(相模線)→八王子→(八高線)→高麗川(こまがわ)→(川越線)→大宮→(上野東京ライン・京浜東北線)→神田
合計191.4キロ

 

※191キロの大回りルート。大人なら、茅ヶ崎駅のサザンオールスターズの発車メロディ(希望の轍)を聞くだけでも楽しいかも
所要時間は、ざっと6時間ちょっと(乗り換え時間含めず。時間帯により変動します)

ルートが一筆書きになっていることに注目してください!

 

 

ルールその4:定期券は使えません。紙のきっぷを推奨

大回り乗車で使用できるきっぷは

・普通のきっぷ
・回数券

のどちらかです。定期券は使えません!!

 

※いわゆる「普通のきっぷ」(オレンジ)
なお、ICカードも普通のきっぷと種類は同じなので大回り乗車は可能ですが、以下の理由により紙のきっぷの方がよいです。

 

・JRが止まった時の振り替え輸送が、ICカードだと受けれない
紙のきっぷを持っていて大回り中にJRが止まった場合、その止まってしまった路線に対応する私鉄や地下鉄があれば、そちらに乗ることが出来ます。ICカードは入場改札をタッチした時点では何円区間の駅にいくのか分からないという理由で、振り替えができないルールになっています。(IC定期券は振り替え輸送可能)

・きっぷを持ち帰り、自由研究のレポートに貼って見栄えを良くすることができる(かも)
きっぷは原則として下りた駅で回収するルールになっていますが、駅員さんが(あくまで善意で)「使用終了」のハンコを押して持って帰らせてくれる場合もあります。
記念にもなりますね。あくまでも回収が基本なので、持って帰れなくてもゴメてはダメです。

 

改札の外に出られない大回り乗車。
どうやって楽しむ?

楽しみ方その1:駅弁こそ大回り乗車の最高の楽しみ!
自由研究に役立つネタも!

駅弁は電車の中で食べるものなので、当然改札内のお店でも売っています。

その土地の名産物などを食材に使っている駅弁も多いので、それをチェックするだけでも自由研究のネタになりますね!

 

駅弁は、待合室や空いている電車内で食べるといいでしょう。(駅弁なのでニオイのあまりしないものが多いです)

東京近郊で大回りする人で「そういうところで食べるのはちょっと抵抗が・・・」
という人は、特急や通勤電車の2階建てグリーン車で食べると良いですね。

 

自由席 グリーン車 2階建て※東京近郊を走る、2階建てグリーン車。
グリーン券を追加で買えば、大回り乗車でも乗れます。
グリーン券の料金は大人も小学生も同額なので注意(小学校入学前の幼児は、無料で座れます)

 

楽しみ方その2:次回のおでかけに役立つ情報が手に入る!

大回り乗車ではなく、普通におでかけをするときの観光スポットに関する情報を見つけることができるのも、大回り乗車の醍醐味。

駅のパンフレットに目を通すのもいいですし、ホームや駅の掲示板に地元の情報があって、思わぬおでかけスポットをみつけちゃうこともよくありますよ!

※ブログを作るのに疲れた筆者(大阪在住)が、日ごとの疲れを癒すために大回り乗車をしたときに下りた王寺駅(奈良県)のホームで見つけた立て札。
鎌倉のあじさい寺に行きたいけど、遠いなあ・・・と思ってたところ、こんな身近にあじさいで有名なお寺があるなんて!!

 

楽しみ方その3:写真を撮ってみよう!

ローカルな路線の駅で降りれば、駅のホームからでもなかなか風情のある写真が撮れるかも?
夕焼け時の時間帯にローカルな駅に行くスケジュールにすると、思いも寄らぬ絶景な写真がゲットできるかもしれませんね!

 

 

無理のないおすすめルートプラン(東京・大阪エリア)

やろうと思えば、140円の初乗り運賃きっぷで1000キロ以上の旅をすることもできる大回り乗車ですが、そんなことを1日でやったら絶対体を壊します((((;゚Д゚)))))))

ほどほどの時間をかけて、ほどほどの距離を旅するのが望ましいですね。

 

夏だったら、日中の暑い時間帯にやり切るスケジュールにすると良いでしょう(電車に乗りっぱなしの旅になるので、クーラーが効いてて良い)

朝の10時にスタートして、夕方の5時か6時くらいにゴールするのがちょうどいいですね。

移動距離も、300キロくらい乗れば十分でしょう。
疲れはありますが、自由研究のレポートを作るのに必要なボリュームは確保できるはずです。

 

以下は
「東京駅発」と「大阪駅発」のおすすめルートを書いています。

ただ、本気で細かくおすすめを書くとキリがないので、東京・大阪以外のエリアの方も含め
「大回りのルートってこんな感じなのね」
という程度に参考にしていただけたら幸いです。

東京駅発のおすすめルート:海!海!海づくしの房総半島一周の旅

 

東京→(総武線快速)→千葉→(総武本線)→成東(なるとう)→東金線→大網(おおあみ)→(外房線)→安房鴨川(あわかもがわ)→(内房線)→蘇我→(京葉線)→八丁堀(はっちょうぼり、東京駅の隣の駅)

 

海!海!海!

やっぱり、夏の旅といえば海でしょう!
房総半島ぐるっと一周するので、イヤというほど海の絶景を楽しむことが出来ます。

駅弁も、館山駅の「くじら弁当」(くじらの肉をつかったもの)など魅力的なものがありますが、改札を出ないと買えないものも多いので、東京駅または千葉駅で購入するのが無難です。

帰りは八丁堀でいったん改札の外に出ますが、そこから再度電車に乗って東京駅まで帰る場合はさらに140円のきっぷが必要です。
1キロちょっとの距離なので、東京駅まで歩いて帰るという場合は追加料金はいりません。

総移動距離:322.3キロ
所要時間:だいたい6時間30分くらい(乗り換え時間含まず)
きっぷ代:八丁堀駅まで140円(こども70円
八丁堀駅から東京駅まで電車で帰る場合、合計280円(こども140円

 

大阪駅発のおすすめルート:琵琶湖一周!近江牛駅弁を楽しむ旅

 

大阪→(JR京都線)→京都→(湖西線)→近江塩津(おうみしおつ、琵琶湖のてっぺん)→(北陸線)→米原(まいばら)→草津→(草津線)→柘植(つげ)→(関西線)→奈良→(大和路線)→福島(大阪駅の隣の駅)

ぐるっと琵琶湖を一周するルートです。
天気の良い日は、琵琶湖を被写体にインスタ映えするいい写真が撮れるかも?

駅弁は、新幹線の駅でもある米原駅の改札内に売っています。
近江牛を使ったおいしい駅弁も売っていますよ!

 

乗り継ぎのタイミングがよければ、乗り換えは5回ほどで済みます。
福島駅からはもう一回120円のきっぷを買って大阪駅まで行くもよし、1キロほどの距離なので歩いて大阪駅まで帰ってもよしです。

総移動距離:337.5キロ
所要時間:だいたい6時間くらい(乗り換え時間含まず)
きっぷ代:福島まで120円(こども60円
福島から大阪駅まで電車で帰る場合、合計240円(こども120円

大回り乗車に違法性はないの?

「理屈はわかるけど、たった100円ちょっとのきっぷでこんなに旅行するのって、本当にアリなの?」

こんな風に思う方も多いのではないでしょうか?

その答えは「全然アリ」です。
理由は「ルールにのっとってやっているから」です。

モラルの問題を気にする方もいるかもしれませんが
「そんなに気にするなら、やらなければいい」だけの話です。

そもそも「途中で通る駅の改札の外に出られない」という縛りがあるわけですから、そんなに「おいしい話」でもないんですけどね。

 

そりゃ、JRからすれば利益が少ないから推奨はしないでしょう。

ただ、僕個人の経験では、大回り乗車中に車掌さんにきっぷを見せて「大回りです」と伝えて、露骨に嫌な顔をされたりしたことは一度もありません。

「客商売だから」と言ってしまえばそこまでですが
「ルールに従ってやっている」ことなので、当たり前といえば当たり前なんですよね。

さいごに

さきほどの違法性の話でも出たように、こういう旅行の仕方はモラル的にどうなの?と気にする人もいるでしょう。
あるいは「ちょっと、うちの子には理解が難しいかも・・・」と思っている親御さんもいるかもしれません。

僕は、日本の全ての子供たちにこの大回り乗車をして欲しいわけではありません。
(そんなことはありえないし・・・)

「おもしろそう!」と思ってくれた人に、いかにわかりやすく伝えることができるか?ということだけを考えて今回の記事を書いただけです。

もし興味があるという方は、自由研究やたまに旅行に行きたいときに、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

さいごのさいごに。

・この記事を参考に大回り乗車を実行し、万一なんらかの理由で不正乗車を指摘されたり想定外な追加運賃を支払うことになってしまった場合

・この旅をきっかけに、お子さんや家族が鉄道マニアになってしまい、元に戻れなくなってしまった場合

などの際、その責は負いかねますので、よろしくお願いいたします・・・。

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