こんにちは。
鉄道旅行大好き「てりん」(@terinn2019)と申します。
前回に引き続き、JRのルールの中でも特にややこしいとされている「選択乗車」について解説していきます。
でもね。
こういう「ひし形」の図だったら、結構すんなり理解しやすいんですよね。
※キレイなひし形の図。単に、赤い線と緑の線、好きなほうを選んで乗っていいよというだけの話
ところが、ひし形になっていないものもあったりして・・・。
急に、泣きたくなるほど難しく感じてしまう人も多いのでは??
今回の記事は、選択乗車の基本を理解しているという前提で解説していきます!
基本については、以下の記事を参照ください!!(先にこっちを読むとスムーズです!)
>>>ねぇ、どっちを選ぶ?JR選択乗車とはどういう意味なのか?
この記事で出てくる「選択乗車No.◯◯」とは、営業旅客営業規則第157条(選択乗車に関する規則)に出てくる図の番号に対応しています!
正式な呼び方ではないのでご注意を!
JR選択乗車中級編
恐怖!「ひし形になってない選択乗車の図」
※選択乗車No.31。ひし形になってない・・・。
ギャアアアア
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ
ちなみに、規則の条文には
新大阪以遠(東淀川方面)の各駅と、新神戸又は神戸以遠(兵庫方面)の各駅との相互間(新大阪・神戸間、新大阪・新神戸間)
とあります。
もはや、ひし形にすらなっていない・・・!
いったい、どういうことなのぉ・・・・゚・(゚´Д`゚)・゚・
・・・そういえば、この選択乗車の図と似たような区間のものを、前の記事で見た覚えはないですか??
そうそう、コレコレ!(選択乗車No.30)
やっぱり、ひし形は安心するなぁ・・・。
このひし形の選択乗車はどういう意味だったでしょうか?
条文を見て、ちょっと復習してみましょう。
No.30の条文には
新大阪以遠(東淀川方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(新大阪・三ノ宮又は神戸間、新大阪・新神戸間)(西明石・神戸又は三ノ宮間、西明石・新神戸間)
とあります。
つまり
「新大阪以遠(東淀川・京都方面)と西明石以遠(大久保・姫路方面)を結ぶ乗車券(間にこのひし形の区間を含む乗車券)を利用する場合、在来線を経由しても良いし新幹線を経由してもいいですよ。また、新神戸まで新幹線を使い、そこから地下鉄などで神戸駅または三ノ宮駅まで移動し、そこから在来線に乗り換えて移動してもいいですよ(逆も可)」
と言っているのです。
ここまでは、わかりましたか?
新神戸駅の対応駅は神戸駅ですが、このNo.30の選択乗車では、三ノ宮駅も対応駅と同じような扱いをされています。
ところがこのNo.30は、あくまでもこのひし形の区間を通過(貫通と言ったほうがイメージしやすい?)する場合についてのみ書いてあるので、このひし形の中にある在来線の駅を発着する場合のことに触れていません。
ひし形の中にある主な在来線の駅
・尼崎 ・西宮
・須磨 ・舞子
そして・明石 などなど!
これらの駅を発着する場合に関しての選択乗車のルールを書いたのが、このヘンテコな図なのです!!
※No.31は、新大阪以遠の駅(東淀川・京都方面)と、神戸駅と西明石駅の間にある駅(図の青い線の区間にある各駅、図では主要な駅のみ記載)の間を移動する際に、赤い線(新幹線)と緑の線(在来線)どちらを選んでもいいよ、ということを意味していたのだ
例:京都から須磨までの乗車券(在来線経由)を所持している場合、京都から須磨まで在来線のみを使って移動しても良いし、京都から新神戸まで新幹線を利用し、新神戸から神戸駅までは地下鉄などに乗って移動し、神戸駅から在来線を使って移動しても良い(帰りもどちらを選んでも良い)
※西明石・姫路方面からも対応できるように、このような選択乗車も認められています(選択乗車No.32)。
条文には「西明石以遠(大久保方面)の各駅と、新神戸又は神戸以遠(元町方面)の各駅との相互間(西明石・神戸間、西明石・新神戸間)」とある
例:姫路駅から西宮駅(神戸駅と新大阪駅の間にある在来線の駅)までの乗車券を持っている場合、姫路から西宮まで在来線のみで移動しても良いし、姫路から新神戸までは新幹線を利用し、新神戸から神戸駅までは地下鉄などで移動し、神戸駅から在来線を利用しても良い
選択乗車No.31と32の場合、神戸駅ではなく三ノ宮駅を乗換駅に使ってもいいの?
新神戸駅から在来線に乗り換える場合、神戸駅よりも三ノ宮駅の方が便利です(地下鉄でひと駅なので)。
三ノ宮駅を使うのはダメなんでしょうか?
No.31・32ともに、新神戸駅の対応駅は神戸駅のみです。
つまり新神戸駅へ到着した時点で、在来線の神戸駅まで来たのと同じ状態になります。
なので、もし31の選択乗車で京都から須磨へ向かう際に、京都から新神戸まで新幹線を使ってから地下鉄で三ノ宮駅へ移動した場合、神戸駅から三ノ宮駅へ引き返してしまう格好になるので(三ノ宮駅は神戸駅より京都寄りにある)、ルール違反になってしまうのです。
どうしても三ノ宮駅で在来線に乗り換えたい場合は、複乗となるので三ノ宮~神戸間の片道運賃を再度払わないといけません。
いっぽう32の場合は、新神戸駅から地下鉄に乗って三ノ宮駅へ行くのはアリです。
なぜかというとこの場合、在来線の神戸~元町~三ノ宮間をすっ飛ばして三ノ宮駅に着いただけであって、引き返した状態にはなっていないからです。
一部区間だけJRを使わず地下鉄やバスなど他の交通機関で移動することを「中抜き」といいますが、これ自体は違法ではありません。
ちなみにNo.30の場合、31のようにややこしい事にならないように、三ノ宮駅も対応駅と同じような扱いにしているのです(31も同じようにすればいいんだけどね・・・)
ただ、実務レベルでは、駅員さんがそこまでルールを把握しているのかどうかはわかりません(31の選択乗車で三ノ宮駅まで行っても、そのまま改札を通してくれそうな気がする)
ナゾのただし書き「一部区間では選択乗車ができない」パターン
お次は、こんな選択乗車はいかが?
※選択乗車No.26。
ギャアアア、なんか路線が多くてややこしそう・・・
路線があちこちに伸びているからややこしく感じますが、実はこれもさっきの選択乗車と意味合いはほぼ同じ。
単純に「岐阜(在来線)経由の乗車券でも、新幹線で岐阜羽島まで行って、そこから他の交通手段(主に名鉄)を使って岐阜から在来線に乗って移動してもいいよ、ということを伝えているのです!
例:豊橋から西岐阜までの乗車券(在来線経由)で、新快速で乗り換え無しで1本(全区間在来線経由)で行っても良いし、豊橋から岐阜羽島まで新幹線を利用し、そこから名鉄などで岐阜駅まで移動し、岐阜駅から在来線で西岐阜駅まで行ってもよい(帰りも可)
この選択乗車No.26の条文には、こんな記載があります。
名古屋以遠(尾頭橋又は八田方面)の各駅と、岐阜羽島又は岐阜以遠(西岐阜又は長森方面)の各駅との相互間(名古屋・岐阜間、名古屋・岐阜羽島間)。ただし、金山・名古屋間各駅と岐阜の相互間発着及び金山・名古屋間各駅と岐阜羽島の相互間発着となるものを除く。
おおっと!
今度は、ナゾの「ただし書き」が登場しましたね・・・。
『ただし、金山・名古屋間各駅と岐阜の相互間発着及び金山・名古屋間各駅と岐阜羽島の相互間発着となるものを除く。』
これは、いったいどういう意味なのでしょうか・・・??
「新幹線単独駅」と「対応駅」は、選択乗車のルール上は実質同じ駅のように取り扱います。(ここでは「岐阜羽島」と「岐阜」のこと。詳しくは前回の記事を参照)
なので、例えば名古屋駅から岐阜羽島駅までの営業キロも、名古屋駅から岐阜駅までの営業キロも同じになります。(どちらも30.3キロ)
JRのきっぷ代は、駅間の距離(営業キロ)をもとに計算するのが大前提。
営業キロが同じということは、当然運賃も同じになる・・・
はずなのですが・・・( ;´Д`)
実は、名古屋〜岐阜(岐阜羽島)の区間は、在来線と新幹線では乗車券の運賃が異なるのです!!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
新幹線経由の、名古屋〜岐阜羽島の運賃は580円。
これが、営業キロを元に算出した、本来の運賃です。
一方、在来線(新快速など)経由の名古屋〜岐阜間の運賃は、470円!!
なんでこんなことになったのか?
理由は簡単。
「在来線が580円だと、ライバルの名鉄(名古屋鉄道)に価格競争で勝てないから」。
在来線の名古屋〜岐阜間は、私鉄の名鉄と激しい旅客の奪い合いを繰り広げています。(通勤客や、近場へおでかけするお客さんなど)
名鉄の、名古屋〜岐阜間の運賃は550円。
わずかとはいえ、580円の運賃をそのままぶつけたら、価格競争に負けてしまいますね・・・。
なので
在来線の名古屋~岐阜間は、名鉄に勝つために特別に安い運賃を特例で設定しているのです!!
そして、この特例運賃が設定されているのが「名古屋・尾頭橋・金山~岐阜間」なのです。
各区間のJR在来線の運賃
名古屋~岐阜間 470円
尾頭橋~岐阜間 540円
金山~岐阜間 540円
(どの区間も、580円より安いぞ!)
名鉄に勝つために安くした乗車券で、価格競争と関係ないはずの新幹線に乗られたら、たまらないでしょ?だから、これらの区間の在来線経由の乗車券では、新幹線には乗れない(在来線しか選べない)というただし書きがついているわけですね。
・・・というわけで、以上「ひし形になっていない、恐怖の選択乗車の図」のお話でございました。
次回は「乗車券分割テクニック」を使用した場合の選択乗車のアレコレについて解説していきます。
やっと、実用的な話に踏み込める・・・( ;´Д`)
次回の記事はコチラ!
>>>選択乗車と乗車券分割テクニックについて