こんにちは。
鉄道旅行大好き「てりん」(@terinn2019)と申します。
今回は、JRのきっぷのルールの中でも特に複雑怪奇でややこしいといわれている「選択乗車」についてのお話です。
選択乗車に関しては、アレコレ書いていくとキリがないのですが
今回はとりあえず「選択乗車の基礎のキソ」と題して、基本的なことについて解説していきたいと思います!
以下、本文で出てくる言葉「規則」とは、JRの旅客営業規則第157条のことを指します。
公式サイトのリンクを貼るので、合わせて確認してみてくださいね!(見やすいように、別タブで開きます)
JR東日本の旅客営業規則第157条に関するページ
JR選択乗車の基礎のキソ
選択乗車って、どういう意味?
JRの選択乗車とは
「2つの駅の間にAとBの2通りのルートがあるとき、Aルート経由と書かれた乗車券でもBルートを選んで乗車することができる(逆も可)というルールのこと」をいいます。
たとえば、西明石~新大阪間には「山陽新幹線(新神戸駅経由)」で進むルートと、「JR神戸線(在来線。新快速など、三ノ宮・大阪駅経由)」の2つのルートがあります。
この場合、乗車券に「新幹線経由」と書かれていても在来線に乗車して移動できるし、「在来線経由」と書かれていても特急券を追加で購入すれば新幹線に乗車することができます。
※西明石~新大阪間は、新幹線経由(赤い線、新神戸経由)と、在来線経由(緑の線、神戸・三ノ宮経由)の2つのルートがあります。この場合、新幹線経由と書かれた乗車券でも在来線を選んで通ることができる(逆も可能)というルールを「選択乗車」といいます
※「西明石から品川までは新幹線経由」と書かれた乗車券。選択乗車のおかげで、新快速に乗って在来線の大阪駅にも降りることができます(自動改札機に通して普通に途中下車ができました)
ちなみにこの乗車券で、大阪から東京へは寝台特急「サンライズ号」(在来線の特急)を利用しました。
以上で説明は終わり・・・
といえば終わりなんですが、どうもこの選択乗車、一縄筋ではいかないようでして・・・。
在来線同士の選択乗車
まずは、一番シンプルな選択乗車である「在来線同士」の例を見てみましょう。
ここでは「相生~東岡山間」で解説します。(山陽本線と赤穂線の2ルートがある区間)
※赤い線が山陽本線、緑の線が赤穂線。どっちでも好きなほうを選べます
規則には、条文として
相生以遠(竜野方面)の各駅と東岡山以遠(高島方面)の各駅との相互間(山陽本線経由、赤穂線経由)
と書かれています。
「相生以遠(竜野方面)の各駅と東岡山以遠(高島方面)の各駅との相互間」というのは、この赤と緑のひし形のルートを間にはさんだ経路の乗車券であれば、選択乗車のルールが適用できますよ、ということを表しています(例:大阪から岡山までの乗車券で、この区間の選択乗車が適用される)
「以遠」という言葉には、分岐点となる駅も含まれます。(今回の場合は「相生」と「東岡山」)
なので、たとえば「相生から東岡山行き」「姫路から東岡山行き」という乗車券でも、山陽本線か赤穂線かを選んで乗車することができます。
この条文の読み方のポイントは、一番最後のカッコの部分です。
このカッコは「選ぶことができるルートのパターン」が書かれています。
この規則のもっとも重要な箇所ですね。
ここでは(山陽本線経由、赤穂線経由)と書かれていますので、どっちかを選べるわけですね(一度決めたら、途中で路線を変えることはできないとも言い換えられます)
新幹線と在来線の選択乗車
新幹線と在来線の選択乗車なんてのもあります。
とりあえずは、「静岡~三島間」の図を見てみましょうね。
※赤い線が在来線の東海道本線、緑の線が東海道線幹線。ちなみに右の「函南」は「かんなみ」と呼びます。難読駅のひとつ
規則には、条文で
三島以遠(函南方面)の各駅と、静岡以遠(安倍川方面)の各駅との相互間(三島・富士間、三島・新富士間)(静岡・富士間、静岡・新富士間)
と書かれています。
さきほどの相生~東岡山間と比べて、何かちょっと言い回しが違うと思いませんか?
そう、最後のカッコには
(三島・富士間、三島・新富士間)(静岡・富士間、静岡・新富士間)と書かれています。
(東海道本線経由・東海道新幹線経由)って書いてあれば、シンプルなのにねぇ。
これはいったい、どういうことなんでしょうか?
実はこのカッコが意味しているのは
「富士駅でいったん改札の外に出て、新富士駅まで行って在来線から新幹線に乗り換えることもできる(逆に、新富士駅で降りて在来線に乗り換えも可)」
だと言っているのです!
つまり「最初は三島・富士間(在来線)を選択し、その後富士駅で降りて徒歩やバスなどで新富士駅まで向かい、新富士・静岡間(新幹線)を選択することもできますよ」と言っているのです。(もちろん、富士~新富士間の交通費は別途必要)
もし最後のかっこに(東海道本線経由・東海道新幹線経由)と書いてあったら、いったん三島から在来線を選んだら、静岡まで在来線でひたすら進まなければいけないという意味合いになります。
新富士駅や岐阜羽島駅、新神戸駅のように、新幹線しか通っていない駅を「新幹線単独駅」といいます。(地下鉄など他社線は考慮しない)
これらの「新幹線単独駅」と双子のような存在の在来線の駅(対応駅と呼ぶ。新富士の場合は富士駅)がそれぞれ設定されていて
選択乗車の規則により、この2つの駅をはさんで在来線と新幹線を乗り継いで移動できるような仕組みになっているのです。
主な「新幹線単独駅」と「対応駅」
・「新神戸駅」と「神戸駅」
(三ノ宮駅でないのがミソですが、規則により三ノ宮駅でも対応駅と同じように使えるようになっています)
・「新岩国駅」と「岩国駅」
(新岩国で下車し、バスで近くにある錦帯橋を観光。その後岩国駅へ向かい、そこから在来線で宮島方面へ立ち寄って観光・・・なんてことも可能)
・「上毛高原駅」と「後閑(ごかん)駅」
(全然名前が違うけど、選択乗車の規則を見れば一目瞭然。徒歩3キロくらいの距離。高崎~越後湯沢間を移動するときに、高崎~後閑間は在来線の本数がまだ多いので、上毛高原~越後湯沢だけ新幹線を使うと特急料金が約半額になるのでオトク)
新幹線と在来線の複雑な関係
JRのルールには
「基本的に並行する新幹線と在来線は、同じ路線として扱う」という大前提が存在します。
JR東日本ホームページ(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
たとえば
「東海道本線と東海道新幹線」
「山陽本線と山陽新幹線」
は、きっぷのルール上同じ路線として扱います。
なので東京駅から品川駅までの乗車券の場合、新幹線経由と書かれていても在来線に乗れるし、在来線経由と書かれていても特急券を買えば新幹線に乗れます。
ただし、これは「並行する新幹線と在来線は同じ路線として扱う」というルールに従っているだけなので、選択乗車とは何の関係もありません!
いっぽう
あいだに新幹線単独駅をはさむような場合には、お世辞にも同じ路線とは言えないので、その区間は全く別の路線として扱います。
先ほどの三島~静岡間や名古屋~米原間、新大阪~西明石間など。また、新横浜駅が間にある品川~小田原駅なども別路線扱いです。
この別路線扱いの区間に関しては、選択乗車のルールによって、新幹線経由の乗車券でも在来線に乗れる(逆も可)わけですね!
さきほど「西明石から品川まで新幹線経由の乗車券で、在来線だけで移動した」と書きましたが、具体的には以下のようなルールが適用されていたのです。
・西明石~新大阪間・・・選択乗車を適用し、在来線に乗車
・新大阪~米原間・・・同一路線扱いなので普通に在来線に乗れる
・米原~名古屋間・・・選択乗車を適用
・名古屋~静岡間・・・同一路線扱い
・静岡~三島間・・・選択乗車を適用
・三島~小田原間・・・同一路線扱い
・小田原~品川間・・・選択乗車を適用
結果的に、東海道新幹線の区間はどっちでも乗れる、ということなんですよね(山陽新幹線は、博多~新下関間に関しては乗車券に書かれた路線しか乗れない。在来線は山陽本線・鹿児島本線経由)
この「新幹線と在来線は同一扱い」というルールは、在来線同士の選択乗車ができる区間でも適用されるので、区間によっては3つのルートを選べる場合もあります!
もし、相生~岡山間をはさむ乗車券があった場合、相生~岡山間は以下の3つのルートを選べることになります。
・相生~東岡山間は赤穂線、東岡山~岡山間は山陽本線経由
・相生~岡山間を山陽本線(在来線)経由
・相生~岡山間を山陽新幹線経由(山陽本線と山陽新幹線は同一路線扱いなので)
お好きなものをどうぞ!
・・・と、以上が「選択乗車」に関する基本でした。
驚くべきことに、ここまでは基本(というか基本中の基本)なのです!!(屮゜Д゜)屮
次回は「キレイなひし形になっていない区間の選択乗車」「乗車券分割テクニックを使用する場合の選択乗車の取り扱い」など、もうちょっと込み入った部分を解説していこうと思います!!
次回記事はコチラ!
>>>JR選択乗車中級編 キレイなひし形になっていない選択乗車の図
「新横浜・横浜駅の選択乗車が気になる!」
そんなアナタはこちらをどうぞ!
>>>新横浜で新幹線を下りた後、横浜駅で途中下車可能か?(選択乗車)