JRのきっぷの値段(運賃)は、駅と駅の間のレールの距離(営業キロ)をもとに決められます。
ところが、営業キロの仲間には「換算キロ」「擬制キロ」という奴らもいます。
で、この2つの違いが分かりにくいのです・・・(´;ω;`)
今回の記事では
この2つの違いをサクッとまとめた上で
あらためて、換算キロと擬制キロの意味について解説していきたいと思います!!
もくじ
「換算キロ」と「擬制キロ」の違いは?
まずは、結論から。
換算キロと擬制キロの違いをギュッとまとめると、以下の通り。
・JRのローカル線(地方交通線)のみを利用する場合には使われないのが「換算キロ」
・JRのローカル線(地方交通線)のみを利用する場合にも使われるのが「擬制キロ」
(というか、運賃計算をする際には擬制キロしか使わない)
ギュッと絞りすぎたので、これだけでは分からない人も多いかもしれません。
以下
「換算キロ」「擬制キロ」の解説をしていきますので、それを読んでからもう一度このまとめに目を通してみてくださいね(っ´∀`c)
「換算キロ」と「擬制キロ」それぞれの意味とは?
「盛る」のが得意な「換算キロ」
ローカル線はお客さんが少ないので、一人あたり運賃を多めにいただかないとやっていけません。
そのため、同じ距離でも
普通の路線に比べ、ローカル線は割高に運賃が設定されています。
つまり
普通の路線とローカル線で、運賃表が2種類あるということですね。
(実際にはもっとありますが、大きく分けるとこの2種類)
当然、これらの運賃表は「営業キロの距離」をもとに作られていますよ!
正式には
ローカル線のことを「地方交通線」
普通の路線のことを「幹線」
と呼びます。
以下、正式名称で解説していきます。
ところが、JRでは
地方交通線と幹線をまたがって移動することもよくあります。
路線ごとに運賃が違っては、またがった場合の通しの運賃の計算がめちゃくちゃ面倒くさい(ノ´Д`)ノ
※大阪駅から、JR姫新線(きしんせん、地方交通線)の千本(せんぼん)駅までの営業キロは115.5キロ。(大阪~姫路間は幹線)
本州のJR幹線の運賃表では、101キロ~120キロまでの運賃は1940円。
いっぽう地方交通線の場合、111キロ~128キロまでの運賃は2270円。
・・・どっちなのぉぉ??
どちらか一方の運賃表を採用しないと、いつまでたっても運賃を出すことができません。
そこで
「ローカル線区間はちょっと距離を盛った(増やした)上で、その合計のキロ数をもとに、幹線の運賃表で計算をしよう!」
ということになりました。
この、ちょっと距離を盛ったキロ数のことを「換算キロ」と呼びます。
姫路~千本駅間の営業キロは27.6キロですが
この区間の換算キロは30.4キロと、ちょっとだけ盛られています。
(正確には、営業キロの1.1倍(1割増し)になります)
よって、大阪~千本の運賃は
大阪~姫路の営業キロ87.9キロ+姫路~千本の換算キロ30.4キロの合計118.3キロ。
この距離を使って、幹線の運賃表をもとに計算します。
101キロ~120キロの運賃は1940円なので、大阪~千本の運賃は1940円となります。
今回の例では、地方交通線に乗る区間がそれほど長くなかったので、特に運賃が割高になることもありませんでした。
しかし地方交通線に乗る区間が長いと、その分換算キロもかなり盛られることになるので、トータルの運賃は高くなります。
「ローカル線に乗るお客さんからは、多めに運賃をとる」という原理がうまく働くわけですね!
営業キロと換算キロ(と、擬制キロ)を足したものを「運賃計算キロ」と呼びます。
また、ローカル線と普通の路線をまたがる場合でも
それぞれの区間の営業キロの合計が10キロメートル以内の場合は、ローカル線の運賃を使って計算します。
営業キロと換算キロの合計(運賃計算キロ)が10キロ以内、ではないので注意!
「化ける」のが得意な「擬制キロ」
「擬制」(ぎせい)
実質の異なるものを、法的取り扱いにおいては同一のものとみなして、同一の効果を与えること。
「デジタル大辞泉」より
JR九州とJR四国には
「擬制キロ」という、もうひとつの種類のキロがあります。
・九州・四国と本州のJRをまたがって移動するとき
・九州・四国内の地方交通線と幹線をまたがって利用する場合
これらの場合には、擬制キロは換算キロと同じように扱います。
なので、基本的には「擬制キロ=換算キロ」と考えておけばいいのですが・・・。
問題は
「九州、四国の地方交通線のみを利用する場合」。
他のJR(北海道含む)には
先ほどの換算キロのところでお話ししたように、地方交通線と幹線で別々に運賃表が存在します。
ところが、九州と四国には
「九州内だけを移動する場合の運賃表」
「四国内だけを移動する場合の運賃表」
と、それぞれ独自の運賃表が1つしか存在しないのです!!
(九州・四国の中で、地方交通線と幹線で運賃表が2つ存在しているわけではない)
だけど、やっぱり
ローカル線は普通の路線より割高にしないとやっていけないのは、ほかのJRと事情は同じ・・・。
ということで
「地方交通線の距離は、実際よりも多めに表示しよう!
で、この多めにした距離こそが営業キロ同然だと言い張って、結果的に運賃を割高にいただけるようにしよう!」
ローカル線独自の割高な運賃表がないために、やむを得ずとった苦肉の策・・・という感じでしょうか。
本州・北海道の地方交通線の場合
地方交通線区間内だけを移動するときには営業キロをもとに計算するので、一応営業キロの存在意義はあったわけですが
擬制キロの場合、これをもとに運賃計算する事しかないので、営業キロがあってないようなものになっているのです!
※鹿児島~宮崎のローカル線、JR日南線(地方交通線)の検索結果。
28.4キロと表示されておりこれは営業キロなのだが、この区間では擬制キロが31.2キロとなっている。(時刻表などを見ないと分からない)
よって運賃は、31~35キロまでの650円になるのだ
ここまでの話をまとめると
運賃計算をする際には
・九州・四国と本州のJRをまたがって移動するとき→擬制キロを使う
・九州・四国内の地方交通線と幹線をまたがって利用する場合→擬制キロを使う
・九州・四国内の地方交通線のみを利用する場合→擬制キロを使う
いやいや、全然営業キロを使いませんやん!!
というか、まるで擬制キロが営業キロみたいに使われている・・・?!
僕は、擬制キロとは
「割高な運賃をもらえるように、距離を盛った上で、あたかも自分が営業キロに化けたかのように振舞っているもの」
と表現しています。
九州・四国内の地方交通線の営業キロは、乗車券の有効期間の計算や「おトクなきっぷの利用条件の判定」などに使われます。
たとえばジパング倶楽部は
「JR線を営業キロで片道・往復・連続201km以上ご利用になるとき」に割引が使えると規定されているので、この距離は九州・四国の地方交通線を経由する場合でも、擬制キロではなく営業キロをもとに条件を満たしているか判定します。
「換算キロ」「擬制キロ」を英訳すると・・・?
換算キロの英訳をグーグルで検索すると
「converted kilometer」
擬制キロの英訳を検索すると
「Fake kilometer」
と出てきます(JRでもそのように訳してるかは知りませんのであしからず)
Convertedは「変換」
Fakeは「偽」という意味です( *´艸`)
(いわゆる「フェイクニュース」などの「フェイク」ですね)
必要に応じて営業キロと切り替えて使う「換算キロ」と
まるで自分が営業キロであるかのように振舞う「擬制キロ」
この2つの特徴をよくとらえた英訳・・・
だと思うのは、僕だけでしょうか( *´艸`)