きっぷのルール

JR70条区間途中下車や新幹線ルール 普通切符が東京フリーパスに?

今回は
「普通のきっぷが東京フリーパスに早変わり?」

そんな魔法のような
JRの「70条区間ルール」についてのお話です。

 

これからお話しする内容は

・東京方面へ、片道101キロ以上の普通のJRきっぷ(乗車券)で旅行する人が

・都心(おもに山手線を中心とするエリア)を

・追加料金無しで、まるでフリーパスのように使用できるようにする方法

です。

 

つまり
「普通のきっぷを、都心のJRのフリーパスのように使えるようになる」
ということですね。

 

あくまでも
フリーパス「のように」
だからねっ!

 

このテクニックを活用すると
場合によっては

「都区内パス」といった都心の路線が乗り放題のフリーパスを買うことなく、都心の観光をたっぷりと楽しむこともできますよ!

 

70条区間のルールの本題に入る前に

まずは、覚えておきたい基本ルールからおさえていきましょう!

まずはこのルールをおさえよう「途中下車」

「ぶらり途中下車の旅」は101キロ以上から

今回のテクニックを行う上で、重要なきっぷのルールがあります。
それが「途中下車」

 

途中下車の正確な意味は

・原則として、片道101キロ以上のJRの乗車券を持った状態で

・最終目的地の駅へ向かうまでの、ルート上にある途中の駅で下車する(改札の外に出る)場合

乗車券を回収されること無く改札の外に出て観光などをし

・ふたたびその乗車券を持って改札内へ入り、続きのルートを旅行することができる

というものです。

 

たとえば
静岡から東京までの乗車券(3410円、東海道線経由)を買ってJRに乗ったら

ルートの途中にある駅(沼津・熱海・小田原・茅ヶ崎・大船・横浜などなど。各駅しか停まらないような小さな駅でも大丈夫)で下車して

観光などができるのです。

 

何度途中下車しても
最初に払った乗車券代3410円以外
追加でお金を払う必要はありません。

 

ただし
自由きままに途中下車していいわけではありません。

ちゃんと、ルールがあります。それは

 

・1つの駅では、1回しか途中下車ができない
・今来たルートを引き返すことはできない

 

以上2点を必ず守りましょう。

 

新幹線に乗る際に乗車券に上乗せして買わないといけない「特急券」には途中下車という概念はないため

列車を降りるごとにきっぷを買いなおさなくてはいけません。

 

例:静岡から東京へ向かう際に、静岡~三島まで「こだま」を使い、三島で途中下車し、三島~東京で「ひかり」を利用する場合。

乗車券は3350円で、追加料金を支払う必要はないが
特急券は「静岡~三島間980円」と「三島~東京間1730円」の2枚を買わないといけない

 

特急券は、新幹線に乗らなければ買う義務はないので
「静岡~三島は各駅停車で行く」
と決めたら、特急券は三島~東京の1730円だけで済みます。

 

三島で観光(休憩)するので
新幹線は三島~東京だけ乗れればOK!
・・・という風にすると
トータルのきっぷ代を安くすることにもつながります。

 

大都市近郊区間内では途中下車は一切無効!

片道101キロ以上の乗車券は途中下車ができるというお話でしたが
残念なことに「例外」があります。それは

 

たとえ片道が101キロ以上であっても、ルートが「大都市近郊区間内」のエリア内のみで完結する場合は、そのきっぷは途中下車ができない。

 

 

たとえば
東京~熱海間は104.6キロなので
片道101キロという条件はクリアしてますが

すっぽり東京近郊区間内におさまるルートなので、この乗車券では途中下車が出来ないのです。

 

新幹線と在来線は(きっぷ上は)同じです

ところが
この東京近郊区間内には「ただし書き」があります。

図の下にも書いてあるように
「新幹線の路線は近郊区間に含まれない」
ということ。

 

熱海~東京を
東海道新幹線経由で移動する場合の乗車券は

片道101キロ以上で
なおかつ近郊区間から外れるため、途中下車できる乗車券になるのです。

 

でも、それだと新幹線に乗らないといけないんでしょう?
特急券を払わないと途中下車できないの・・・?

 

実は、きっぷのルール上では
「同じ駅同士を結ぶ新幹線と在来線は、同じ路線として扱う」としています。
(旅客営業規則第16条の2より。例外の路線あり)

 

・・・ということは
「熱海~東京の東海道線経由の乗車券」でも特急券を追加で買えば新幹線に乗れるし

逆に「熱海~東京の東海道新幹線経由の乗車券」で在来線に乗ることも可能なのです。

 

もうおわかりですね?

「新幹線に乗るつもりが無くても、熱海~東京の新幹線経由の乗車券を買えば、在来線に乗って途中下車をすることが可能」なのです!

 

 

※一見同じように見える、2枚の「川崎~羽鳥(常磐線)」の乗車券。
東京近郊区間内なので途中下車できない乗車券になるが、1枚目は東京~上野間を無理やり新幹線経由にしたことで、近郊区間から外れて途中下車できるようになった。
(「下車前途無効」と書かれている乗車券は、途中下車が出来ないきっぷということを示している)

 

ここまでの内容は理解できましたか?

 

さあ、いよいよ本番の
70条ルールの解説に入っていきますよ!

 

「70条ルール」の概要

「70条区間ルール」ってどんな意味?

70条ルールとは

「JRの旅客営業規則第70条で指定された区間(いわゆる70条区間)を経由する乗車券を持ち、かつ70条区間を通過する際には、後戻りしたり2度同じ駅を通ったりしなければ、区間内を好きなルートで進むことができる。どんなルートで進もうが、乗車券の値段は最短ルートのもので計算する

というものです。

 

※70条区間

 

 

ここでいう「通過する」というのは
「70条区間を貫通するルート」と言い換えることができます。

 

たとえば「静岡から高崎までの乗車券」(東海道・東北本線・高崎線経由)や
「水戸から千葉までの乗車券」(常磐線・東北本線・総武線経由)などがこれに該当します。

 

一方「大阪市内から東京都区内行き」の乗車券などは、この70条区間内に目的地があるため、通過(貫通)していることにはならず、このルールは適用されません。

 

この70条ルールの適用を受けたいなら

たとえば大阪市内から京葉線の舞浜までの乗車券にするとか、埼玉の川口までの乗車券にする必要があります。

 

 

好きなルートを通れるということは

かなり遠回りして、ジグザグに進むということも可能なのです。

 

たとえば
静岡から群馬県の高崎までの乗車券の場合

普通は70条区間内は「品川→東京→上野→大宮」という風に、真っ直ぐ北上する(京浜東北線に沿って進むようなルート)になるはずです。

 

これが最短ルートとなるので、乗車券もこのルートで進んだ場合で計算します。

 

 

これを
「品川→東京→四ツ谷→新宿→大宮」

ジグザグに山手線や中央線を経由する迂回(うかい)ルートで進んでも良いのです!
(迂回するので距離は伸びるが、乗車券は最短ルートで計算するので、値段は変わらない)

 

この区間は、通過するのに
湘南新宿ラインとか、上野東京ラインとか
たくさんの電車(ルート)があるので
「めんどうくさいから、どれに乗っても値段一緒だよ!」
とするのが、このルールの目的と言えますね。

 

「引き返してはいけない」
「二度同じ駅を通ってはいけない」というルールは必ず守りましょう。
いわゆる「一筆書き」のルートになることが条件です。

 

途中下車と組み合わせると最強のルールになる!

でも
ジグザグに移動していいからといって、それが何になるの?

 

こう思う人も多いのではないでしょうか。

そう。
単にジグザグに移動できるだけなら、さほど意味はありません。

 

この70条ルールの
最大のメリットは

「途中下車できる乗車券であれば、迂回ルート上の駅で途中下車ができる」ということです。

 

先程の「静岡から高崎までの乗車券」は
途中下車できる乗車券の条件を満たしています。

つまり
「品川→渋谷→代々木→四ツ谷→秋葉原→上野→赤羽」と迂回ルートで進んだ場合、途中で通る各駅で途中下車して、観光などができる
わけです。

 

 

さらにひねくれて迂回すれば
「品川→渋谷→代々木→四ツ谷→神田→東京→錦糸町→秋葉原→上野→赤羽」という風に通ることも可能です。

当然
駅を降りるごとに追加料金は発生しません。

 

これって
もはやフリーパスそのもの・・・?!

 

デメリットは「自動改札機を通れない」

しかし、この70条ルール
自動改札機での認識は不可能のようで、最短ルートから外れた駅で降りると、エラーが出て途中下車することができません。

その場合には、駅員さんのいる有人改札を通りましょうね。

 

有人改札を通る際には、きっぷに下車印のハンコを押してもらいます。
これによって、どのようなルートを通ってきたか把握できるわけですね。

 

※2018年のガンダムスタンプラリーの際に使った乗車券。
70条区間ルールで下車した駅の下車印が所狭しと押されている。
おかげで、ここまでどのようなルートを通ってきたかどうか一目で分か・・・る・・・?

 

ちなみに
下車印を押してもらうということは、駅員さんがこのルールを把握しているかどうかが非常に重要になってくるわけですが、その実態についてはこの記事を参照!
(2018年現在の内容です)
>>>JR70条区間ルールは区間内の駅員さんに把握されているのか?

 

普通の乗車券が、ほぼタダでフリーパスに早変わり?

このルールをうまく活用すれば、実質的に「東京エリアのフリーパス」ように使うこともできます。

 

たとえば
「大阪市内から高尾までの往復乗車券(品川・八王子経由)」を買うと

行きは
「品川→渋谷→代々木→四ツ谷→神田→東京→錦糸町→秋葉原→上野→赤羽→池袋→新宿→高尾」

帰りは
「高尾→新宿→池袋→大塚→上野→東京→新橋→品川」

と迂回して移動することができるため

70条区間のほぼ全ての駅(=東京都心の主要駅)で途中下車ができるのです!

 

このルートは、行き帰りともに
「来た道を引き返さない」
「同じ駅を二度通らない」
というルールを守っています。

 

このルールは
行きと帰りでは独立しているものと考えるので、行きと帰りでルートが被ることは問題無いのよ!

 

また
大阪市内〜高尾の乗車券の運賃は片道9610円しますが

片道あたりの距離が600キロを超えているため、往復割引適用なら1割引で8810円になります。

 

なんと
大阪市内〜東京都区内8910円よりも片道100円安い!

 

にもかかわらず
70条区間を迂回ルートで移動し、途中下車もできてまるでフリーパスのように使うことができる!

という、素晴らしいきっぷになるのです。

 

でも
高尾までわざわざ
いかないとダメなの・・・?

 

高尾まで乗車券を買ったとしても
高尾まで行かないといけないわけではありません。

途中の駅(中野や荻窪、吉祥寺など)で行きのきっぷを使い終えて、さらにその駅から再度東京都心へ引き返しても問題はありません。

 

新幹線を経由しても適用されるのか?

図を見るとわかるように
70条区間のルールは、基本的に在来線で移動する場合を想定して作られています。

では、70条区間を新幹線を経由する場合でも、この迂回しても良いというルールは適用されるのでしょうか?

 

答えは
「70条区間にある新幹線の区間(品川~東京~上野)は規則上、在来線の東海道本線および東北本線と同一として扱うので、この区間を新幹線利用しても、70条ルールは適用される」と解釈できます。

 

新幹線と在来線を同一路線として扱うというのは、さきほど途中下車のルールのところで触れましたね。

 

実行の際は理論武装をしっかりと

実際にこのテクニックを使う場合には
その他のきっぷの知識や、有人改札で事情を聞かれた時に説明する能力などが求められます。

 

生半可な理解でやってしまうと、最悪の場合不正乗車と誤解される可能性もあるため、しっかりときっぷに関する知識をつけておきましょうね。

 

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です