「サンライズ号」で夜行列車の旅!
目を覚ませば、そこは東京・・・!
・・・と思ったけど、目が冴えて早い時間に起きちゃった!
ここは、どこの駅だろう・・・?
え、豊橋・・・?!
大阪の次は静岡に停まるはずなのに・・・?
「サンライズ号」などの夜行列車では、時刻表を見たら通過するはずの駅に停車することがあります。
なんで、こんなことが起こるんでしょうか?
運転停車とは?
運転停車とは
「乗務員(運転手など)の交代など業務上の都合のために、列車が駅に停車する」
ことをいいます。
お客さんの乗り降りのための停車ではないので、ドアは開きません(「客扱いをしない」といいます)
主に、夜行列車(夜通し走る列車。寝台特急など)で見られる運転形態です。
現在では「サンライズ号」がその代表格ですね。
「寝台特急サンライズ号」の運転停車
※東京行きの「寝台特急サンライズ号」。夜中の0時半過ぎの大阪駅にて。
大阪を出ると、静岡駅まではノンストップ。
時刻表の上ではね・・・。
米原駅で運転停車する理由
夜中の0時半過ぎに大阪駅を出発する東京行き「サンライズ号」は
1時間ほどノンストップで走行したのち、滋賀県の米原(まいばら)という駅に停車します。
ここで、乗務員(運転手)の交代を行うのです。
なぜ、米原なのか?
距離的に交代にほどよい場所、ということもあるのでしょうが
何よりも
「米原駅より先はJR東海エリアになる(JR西日本と東海の境界駅)」
会社が変わるので運転手も交代しましょう・・・ということなんですね。
なぜお客さんの乗降はできないのか?
「せっかくなら、米原駅でお客さんが乗り降りできるようにしたら?」
ほかの路線の終電がとっくに終わっている夜中の1時過ぎに
正直さほど栄えていない米原駅に下りる人は、ほとんどいません(ほぼ0人だと思います)
もしかしたら乗り降りするかもしれない、わずかな乗客のために夜遅くまで駅をオープンしておくのは、人件費などコストがかかりすぎます。
なので、お客さんの乗り降りはできないようにしているのですね。
このほかにも、上り下りで
いろいろな駅で運転停車を行います。
お客の乗降をしない理由は以上ですが
かつて夜行急行が走っていた頃は、真夜中でも普通に小さな駅に停車していました。
僕も昔、夜行急行に乗って夜中の3時過ぎに香住駅(兵庫北部の、日本海すぐ近くの駅)に下車したことがありましたが
無人で明かりもほぼついていない駅の改札を普通に通ってました・・・(めっちゃ怖かった)
おおらかな時代だった、ということかしら・・・。
運転停車はミステリーがお好き
この項目は、89年に発売されたファミコンソフト
「西村京太郎ミステリー ブルートレイン殺人事件」のネタバレを含みます。
いまどき、これから始める人はかなり少ないと思いますが
プレイ予定の方は閲覧をご遠慮ください!!
ミステリー作家、西村京太郎氏の代名詞といえば
「時刻表トリック」。
時刻表(列車の運行時刻)を巧みに使った殺人事件のトリックとして
今回の主役、運転停車が使われたことがあります。
では、以下
ファミコンソフト「西村京太郎ミステリー ブルートレイン殺人事件」のあらすじとそのトリックをのぞいてみましょう。
超ざっくりとしたあらすじ
ある日の早朝の下関駅。
東京発の寝台特急「はやぶさ」車内にて、身元不明の死体が発見される。
すったもんだの捜査の結果
ある男が犯人として浮上する。
しかし、その男は事件当日
「はやぶさ」の1本前を走る寝台特急「さくら」に乗車していた。
その男と一緒に「さくら」に乗っていた女性の証言では
男は夜は京都まで、朝は下関到着の時点では「さくら」に乗っていたという。
被害者の死亡推定時刻は、夜の1時から2時ごろ。
「はやぶさ」が三ノ宮駅を出て以降と推測された。
刑事は
「大阪駅で「はやぶさ」に乗り換え犯行を行った後、どこかの駅で下車しそこから車を飛ばし、下関到着までに再度「さくら」に乗り換えた」
と推理する。
果たして、男のトリックを暴くことができるのか?!
※ゲーム中の時刻表とほぼ同じ、87年4月の時刻表より抜粋。
大阪と三ノ宮の時刻が1分違うだけで、あとはゲームと同じ時刻です
刑事は
「三ノ宮で「はやぶさ」を下り、そこから400キロ以上タクシーを飛ばして小郡(現在の新山口駅)へ向かう」
「岩国で「はやぶさ」を下り、そこから100キロ以上タクシーを飛ばして宇部へ向かう」
など、ハードな検証を何度も行うも
どうしても「さくら」に間に合わない。
そんな折、刑事は
「ブルートレインは、時刻表には載っていない駅で停車することがある(運転停車)」
という話を耳にします。
再度「はやぶさ」に刑事が乗ると、岡山駅で運転停車をすることが判明。
車掌に、乗客は岡山に下りれるのかたずねると
「普通は下りれませんが
緊急の場合や、気分の悪い乗客が出たときは下りてもらうことがあります」(車掌談)
ピン!ときた刑事は
岡山からタクシーを飛ばし、小郡駅へ!
すると・・・
小郡駅にはまだ「さくら」が停車している!!
「間に合った・・・!!」
刑事は無事、男のトリックを見破ったのであった・・・!(完)
・岩国からタクシーだと、小郡などの駅までの距離が短すぎて追いつかない
・岡山からタクシーだと、そこそこの距離があるので「さくら」よりも速いスピードで走れる時間が長く、その分距離を詰めることができる
というのが主な理由でしょうか。(もちろん車はスピード違反ですが)
「さくら」の乗り換え駅が小郡だったのは
駅が高速のインターからほかの駅に比べ一番近かった、というのが主な理由のようです。
※時刻表に載っていない岡山で「気分が悪い」など仮病を使って下車し、そこから高速を飛ばせば、小郡5時44分発の「さくら」に間に合うぞ!(ホンマかいな)
今では、夜行列車がほとんど走っていないので
こんなトリックを使うことができません。
ちょっと寂しいけれど、そのほうが平和でよい・・・
って、このトリックを実際にやろうとする人なんていたんだろうか・・・?