こんにちは。
鉄道旅行大好き「てりん」(@terinn2019)と申します。
今回は、選択乗車の応用的な内容を書いていきます。
テーマはズバリ「選択乗車と乗車券分割テクニック」。
この記事で出てくる「選択乗車No.◯◯」とは、営業旅客営業規則第157条(選択乗車に関する規則)に出てくる図の番号に対応しています!
正式な呼び方ではないのでご注意を!
乗車券分割テクニックと選択乗車の複雑な関係
分割した乗車券でも、選択乗車はできるの??
まずは結論から。
分割乗車券テクニックを使用しても、選択乗車は可能です(o^∇^o)ノ
乗車券分割テクニックとは?
乗車券を1枚の通しではなく複数の区間に分割して購入することで、トータルのきっぷ代を安くする方法。
例:大阪〜名古屋間を東海道本線経由で移動する場合、通しの乗車券運賃は3350円だが、以下の3つの区間に分割して購入するとトータルの金額はそれより安くなる。
大阪〜京都 560円
京都〜岐阜 1940円
岐阜〜名古屋 470円
合計 2970円
なんで安くなるの?
など、くわしくは、こちらの記事を参照!
>>>JR分割乗車券とは?なぜ安くなる?買い方や使い方
分割した乗車券であっても、選択乗車を適用することは可能です。
条文の中には、以下のただし書きがあります。
ただし、2枚以上の普通乗車券又は普通回数乗車券を併用して使用する場合は、他方の経路の乗車中においては途中下車をすることができない。(旅客営業規則第157条)
つまり
「A線経由と書かれた乗車券を複数組み合わせてB線に選択乗車した場合、B線内では途中下車できない」
と規定しているわけですね。
例:東京都区内発播州赤穂行きの乗車券と、播州赤穂発岡山行きの乗車券(ともに赤穂線経由)を組み合わせた場合、相生〜東岡山間を山陽本線経由で移動することが可能。
ただし、この場合相生~東岡山間では途中下車ができない。
途中下車は、原則として片道101キロ以上の乗車券でしかできません。
なので今回の例の場合、赤穂線を経由したとしても、播州赤穂〜岡山間の乗車券では途中下車できません(距離が54キロしかないので)
乗車券分割&選択乗車で、お得な新幹線の旅を!!
この写真は、かつて僕が大阪から名古屋まで「ひかり」号で移動した時に使った、乗車券と特急券です。
左下の特急券はフツーのものですが、その他の3つの乗車券は「大阪〜京都」「京都〜岐阜」「岐阜〜名古屋」の回数券(全て在来線経由)です。
特急券さえ購入すれば、区間分割した回数券でも、新幹線に乗ることができるのです。
これも、選択乗車のおかげでございます。
回数券に書かれた金額は、定価の10倍の金額です(JRの回数券は、11枚つづりのものが10枚分の金額で買えるシステムなので)。
ただし、大阪~京都間は特例で、定価の9倍の金額が書かれています。この区間は11枚つづりのものが9枚分の金額で買えちゃうんですよ。お得!
これで、話はおしまい・・・といきたいところですが。
ところで、この写真を見て
「あれ?なんか前回の記事の内容と話が違うんじゃない?!」
と思う方はいませんか?
いたとすれば、なかなか鋭いですねぇ(๑>◡<๑)
そう!
「名古屋〜岐阜間(470円)の特定運賃の乗車券を持って、新幹線に乗っている!!」
前回の記事で
岐阜〜名古屋間の在来線経由の乗車券では、選択乗車ができない(新幹線を利用できない)と解説しました。
なぜなら
この区間の在来線経由の乗車券は、名鉄との価格競争に勝つために、本来の580円よりも安くした特定運賃だからなのです!!(名古屋~岐阜羽島の乗車券運賃は普通に580円)
※選択乗車No.26。
岐阜〜名古屋・尾頭橋・金山相互間の在来線経由の乗車券は特例の割引運賃のため、新幹線を使うことができない。という主旨のただし書きがある
しかし!
これは、あくまでも「岐阜〜名古屋・尾頭橋・金山相互間を移動する場合のみの規定」です。
「岐阜〜名古屋・尾頭橋・金山間のみを移動する場合」に適用されるルールなのですよ。
移動する区間が変われば、そもそも選択乗車のルール自体が変わります。
大阪~名古屋間を新幹線で移動する場合は、以下の選択乗車No.28が適用されます。
※選択乗車No.28
米原以遠(彦根・大阪方面)の駅と名古屋以遠(尾頭橋方面、名古屋駅を含む)の駅の間を移動する際は、この選択乗車が適用されます。
No.28の条文には
名古屋以遠(尾頭橋又は八田方面)の各駅と、米原以遠(彦根又は坂田方面)の各駅との相互間(名古屋・岐阜間、名古屋・岐阜羽島間)(米原・岐阜間、米原・岐阜羽島間)
とあります。
3つの乗車券を組み合わせて米原〜名古屋間を移動することになるので、今回はこちらの選択乗車をすることになります。
最大のポイントは
No.28条分には「岐阜〜名古屋の在来線経由の乗車券が使えない」とは書いてない!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ということ。
というわけで
問題なく、岐阜~名古屋の470円の乗車券(回数券)で、新幹線に乗れるというわけですね。
名古屋〜岐阜間と同じく、私鉄とのし烈な競争にさらされている大阪〜京都間も、本来の営業キロより安い特定運賃(560円)が設定されています。
大阪〜京都間は「選択乗車の基本」の記事で解説したように「在来線と新幹線が同一路線扱い」の区間なので、在来線経由も新幹線経由も共に560円となり、在来線経由と書かれた乗車券や回数券でも、問題なく新幹線に乗れます。
新幹線、乗れるの?乗れないの?
お次は、かなりマニアックな話なのであまり実用的ではないかもしれませんが、こういう考え方もあるんだな、というお話をひとつ。
大阪駅から、岡山県の倉敷駅まで分割乗車券を使って旅行する場合を例にしてみましょう。
普通に大阪駅から倉敷駅の乗車券を1枚の通しで買うと、その運賃は3350円。
いっぽう
大阪駅から倉敷駅までの分割乗車券を「乗車券分割プログラム」さんのサイトで検索すると、こんな結果が出ました。
・大阪~神戸 410円
・神戸~明石 300円
・明石~倉敷 2270円
合計 2980円(定価との差額:370円)
定価との差額はなんと370円!
往復だと740円。
金券ショップで回数券を入手できたら、さらにお得ですね。
これで、めでたく大阪から倉敷まで、お安く旅行ができますね(*´∇`*)
ところで
この乗車券で、新大阪発着で新幹線を利用することは出来るんでしょうか・・・?
※駅の位置関係。この3枚の乗車券だと、新大阪駅をかすっていない。わざわざ新大阪までの乗車券を追加で買わないといけないの・・・?
実は、新大阪~西明石間に関して、こんな選択乗車のルールが存在します。
※選択乗車No.29。福島・天満以南の駅(オレンジの路線。要するに大阪環状線方面)から大久保方面へ抜ける乗車券を持っている場合、在来線経由のものであっても、追加運賃無しで新大阪を経由し新幹線に乗車できることを表している・・・ように見えるが?
条文は以下の通り。
大阪以遠(天満又は福島方面)の各駅と、西明石以遠(大久保方面)の各駅との相互間(東海道本線及び山陽本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の区間内では途中下車の取扱いをしない。
「この場合~途中下車の取扱いをしない。」とは、たとえば在来線経由の乗車券で新大阪や新神戸駅では途中下車できないよ、ということを意味しています。
本来の在来線経由よりも、大回りして距離が長くなるのに特例で新大阪経由を認めたんだから、その上、途中下車までしようなんて虫が良すぎるの!ということなんでしょう。おそらく。
例1:天満から大久保までの乗車券(在来線経由、1140円)で、大阪駅から新快速などで神戸方面へ向かって移動しても良いし、いったん新大阪駅へ向かい、新幹線を経由して移動しても良い
例2:福島から神戸までの乗車券と、神戸から大久保までの乗車券(2枚とも在来線経由)で、例1と同じような選択乗車が可能となる
一見
「天満・福島方面(大阪環状線)から、大久保方面へ抜ける場合の選択乗車」のように思えるのですが・・・。
良く見ると
「大阪以遠」という記述があります。
基本の記事で解説したように
「以遠とは、分岐駅を含む」ことでしたから、この場合大阪駅発着の乗車券でも、この選択乗車は適用できるという解釈ができます。
ということは・・・
上記の3枚の分割乗車券でも、新大阪発着で新幹線を利用することができる!!
というわけですね!
(実はつい最近まで、この分割乗車券では新大阪で新幹線の乗り降りはできないと思ってました・・・。なんとややこしい)
「以遠」が分岐駅を含むことの証明
大都市近郊区間などをのぞき、JRの乗車券運賃は「実際に列車に乗車した距離(営業キロ)」をもとに計算します。
このことを利用して、「○○以遠の駅」という表現が、その分岐駅自体を含むことを証明してみましょう。
ここでは「山陽本線の朝霧(明石駅よりも1駅大阪寄りの駅)から東岡山駅まで乗車する場合」を例にして検証していきます(この区間は大阪近郊区間外)。
※相生~東岡山間の選択乗車。
条文には「相生以遠(竜野方面)の各駅と東岡山以遠(高島方面)の各駅との相互間(山陽本線経由、赤穂線経由)」とある
朝霧から東岡山までの運賃を乗り換え案内で検索してみると、山陽本線経由の場合の営業キロは119.1キロで1940円。(101~120キロまでの運賃は1940円)
いっぽう、赤穂線経由の場合は営業キロは115.9キロで、こちらも同じく1940円。
何もおかしなことはない・・・ように見えますが、実はちょっと変なことが起こっているのです。
実は赤穂線は地方交通線なので、山陽本線などの幹線と通しで移動する際の運賃を計算する場合、地方交通線内は距離を少し割り増しした「換算キロ」という数値を用います。
相生~東岡山間の営業キロは57.4キロなのに対し、換算キロは63.1キロ。
つまり、運賃計算に用いる距離は営業キロの合計に5.7キロ足すことになるわけです。
なので
赤穂線経由の場合の運賃計算に用いる営業キロは、115.9+5.7=121.6キロ。
121キロ以上なので、本来の運賃は2270円になるはずなのです!!(実際、乗車券分割プログラムさんのサイトでこの経路の運賃を計算すると2270円になりました)
なのに、乗り換え案内では赤穂線経由でも運賃が1940円になってる!どうして?
それは
「この区間では選択乗車ができるので、旅客に有利な選択結果(山陽本線経由)の運賃が表示されている」から!!
に、他なりません。
つまり
「東岡山発着の乗車券でも、選択乗車が適用される=分岐駅は「以遠」の駅に含まれる」ということでした。
かなりマニアックな話まで突き進んでしまいましたが、分割乗車券と選択乗車の組み合わせは、なかなか調べてみると面白いものですね(*゚▽゚)ノ
次回は選択乗車の最終回として、もっとも話題になりやすい「横浜・新横浜の選択乗車」をテーマに解説しています。
↓最終回はコチラの記事です!!
>>>新横浜で新幹線を下りた後、横浜駅で途中下車可能か?(選択乗車)