鉄道トリビア

熱海駅がすぐ近くなのに、なぜ三島に新幹線の駅があるのか?

熱海駅から15.9キロしか離れていない場所にある、新幹線の三島駅。

 

「熱海駅が近くにあるのに、わざわざ三島に新幹線の駅があるのはなんで?
もしかして、地元出身の政治家の陰謀か・・・?」

なんてこと、疑問に思ったことはないですか?

 

なんだか不自然な場所にあるとしか思えない三島駅ですが
実は、れっきとした理由があるのです。

 

その謎のカギは、何を隠そう
あの熱海駅が握っているとか・・・?!

最初からあったわけじゃない「三島駅」

実は
新幹線の三島駅は、最初からあったわけではありません。

 

東海道新幹線(東京~新大阪間)は1964年に開業しました。

いっぽう、新幹線の三島駅の開業は1969年

5年の空白期間があったんですね。

 

もちろん、在来線の三島駅は昔からありましたが
新幹線の三島駅は、新幹線開業当時は影もカタチもなかったのです・・・。

 

1964年の開業時に三島駅がなかったのはいろいろな理由が考えられますが、主に以下の2つと思われます。

 

・新幹線計画時に、静岡県内に建てる予定だった新幹線の駅は3つもあり(熱海・静岡・浜松)、さらに増やすと同じ県内に4つも駅ができることになり、他の県から「うちにももっと駅を作れ!」と文句を言われる可能性があった

・乗客の利用者数を予測すると(近くの沼津駅も含めて)わざわざ三島に駅を作るほどの需要はないと思われた(熱海駅があれば十分)

 

そう。

三島駅が開業当初は無かった理由。それは

「近くに熱海駅があるんだから、それで十分だった」

という、誰もが納得する理由だったんですね!!

三島駅誕生のきっかけは熱海だった?!

「近くに熱海駅があるから」

という、当たり前の理由で設置されなかった、新幹線の三島駅。

 

ところが
実際に新幹線が開業すると、事態は思わぬ方向に進んでいきます。

それは
「新幹線で東京から熱海へ行く人が、予想よりも多かった」
ということ。

 

さて、東海道新幹線が開業してみると東京を発着する「こだま」は熱海までの利用客が多いことが判明した。
そこで東京~熱海間運転の「こだま」を増発したのだが、熱海には待避線や折り返しのための線路がない。
熱海発の列車は静岡から回送し、熱海着の列車はその反対に静岡まで回送するという苦しい方法を採らざるを得なくなった。

「新幹線の謎と不思議」(梅原淳・著)より

 

要約すると

 

・東京から熱海まで利用するお客さんが予想以上に多かった。

・そこで東京~熱海間でたくさん電車を走らせるために、熱海駅に着いた新幹線はすぐに東京へ折り返す(=引き返す)ようにしたかったが、折り返す用の設備が熱海駅にはなかった(注:今もない)

・結局、熱海止まりでいいはずの電車を
わざわざ75キロも先の静岡駅まで走らせて、そこで折り返しさせるというムダな作業をするハメになった

 

熱海は
今も昔も、関東では人気の観光地ですし

当時、関東から比較的近い有名な温泉地で、新幹線でサクッと行けるのが熱海しかなかったことが、熱海人気に拍車をかけたのではないでしょうか?

 

とにかく
本来熱海止まりでいいはずの「こだま」を、わざわざ75キロも先の静岡まで走らせるのはムダです。

 

そこで
1965年には、熱海から15キロほどしか離れていなかった三島に折り返し用の設備が作られ

その後、新幹線の本数がさらに増えると
「いっそ三島に駅を作ったほうがよい」と考えられ

1969年、晴れて
折り返し設備と、複数の電車を待機させる場所(留置線)を装備した三島駅が誕生したのです!!

 

※1971年、三島駅開業から2年後の交通公社時刻表10月号。(一部抜粋)
上り(東京行き)だけでも三島発の電車が1日6本。さらに今では考えられない、熱海始発の電車も1本走っていた。下りも東京発三島行きが6本あり、多くが折り返して東京へ引き返すダイヤになっている

 

熱海がすぐ近くにあるのに、わざわざ三島駅を作った理由。

それは、何を隠そう

「熱海が人気観光地だったから」

なのです!!

 

熱海のせいで開業されなかった三島駅が
熱海のおかげで開業することに・・・。

なんとも不思議なお話ですね(っ´∀`c)

なぜ、沼津駅ではなかったのか?

在来線 東海道※三島駅から在来線電車に乗れば、ひと駅で静岡東部の主要都市「沼津」駅だ

 

三島駅が誕生した最大のポイントは
「熱海駅の近くだった」ということ。

三島駅で在来線に乗り換えると、ひと駅で静岡東部の主要な都市「沼津(ぬまづ)」に到着します。

街の規模を考えると、沼津に新幹線の駅があるほうがふさわしいように思えますが、なぜ沼津ではなかったのでしょうか?

 

地図を見ると
在来線の沼津駅と、新幹線の線路はかなり離れていることがわかります。
(直線距離で3キロ近く)

わざわざ在来線に乗り換えできない「新沼津」みたいな駅を作るよりは、在来線のすぐ近くを通っていた三島駅に作ったほうが乗り換えに便利だったから、というのが最大の理由でしょう。

 

線路が離れている理由は
ネットでは「新幹線建設の反対運動があった」などの情報が出てきますが

事の真相は
「沼津付近は地盤が弱い地域のため、そこを避けて新幹線の線路を建設したから」
ということのようです。

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