※普段のお出かけから長距離の旅行まで、結構使えるJRの普通回数券
こんにちは。
鉄道で日本を旅するのが大好き
「てりん」と申します。
このブログでは、いろいろな種類の、お得な回数券に関する記事をいくつか書いていますが・・・。
今回は、JRの「ふつうの」回数券のお話です。
私鉄では、普通回数券や時差回数券、休日専用回数券などバラエティ豊かな回数券が発売されていますが、JRの場合は全国的に使えるものとしては、普通回数券しかありません。
(地域や列車の種類により、それよりもお得な回数券が発売されてますが)
今回は、このJRの普通の回数券の基本から、ちょっとしたお得なテクニックまで解説していきます。
(以下、本文では「普通回数券」を「回数券」と表記する場合があります)
もくじ
普通回数券の基礎知識
回数券の値段は?
JRの普通回数券は、10回分のきっぷ代で、11回分のきっぷを買うことができるシステムです。(大阪〜京都間など、一部設定が異なる区間あり)
つまり、定価で買うよりも9%くらい安くなるわけですね。
私鉄のように「○○円区間」の回数券を買うのではなく、あらかじて乗る区間を指定して回数券を買います。
そのため、その区間以外で利用することはできません。
例:東京駅から小田原駅までの回数券の値段
片道の運賃は1490円なので、販売額はその10倍の14900円。
これで11回使えるので、1回あたりの運賃は
14900÷11=約1354円
JR東日本では
紙のきっぷとICカードとで運賃が異なる場合がありますが、回数券の値段の計算は紙のきっぷの運賃をもとに計算します。
例:大阪駅から京都駅までの回数券の値段
この区間は「9枚分の値段で11枚つづりの回数券を発行する」と規定されているので、片道の運賃560円の9倍の5040円で販売。1回あたりの運賃は
5040÷11=約458円
大阪~京都や、大阪~神戸などは並走する私鉄との価格競争が激しいため、回数券も一般的なものよりもオトクになるように設定されています。
回数券と普通のきっぷはこう違う
普通のきっぷは、その気になれば片道あたり数千キロでも1万キロ超の距離でも買うことが出来ます。
いっぽう、回数券を買える区間は片道あたり200キロ以内。
有効期間は購入した日から3ヶ月です。
また、普通のきっぷであれば、片道101キロ以上であれば原則として途中下車が可能ですが、回数券は101キロ以上のものでも途中下車ができません。
(詳しくはこの記事を参照:鉄道旅行最大の魅力!途中下車とはどんなルールなのか?)
期間内に全部使い切れそうにない場合は、払い戻しを行います。
普通のきっぷなら、単純にきっぷ代から手数料220円を差し引くだけですが(未使用の場合)
回数券の場合は、購入額からすでに使った回数分の普通運賃分を差し引いて、さらに手数料220円を引いた金額が戻ってきます。(なので、回数券が残っていても、戻ってくるお金が0円の場合もある)
例:東京〜横浜の回数券を、3回使った状態で払い戻しする場合
回数券の値段:4700円
1回の普通運賃:470円
4700-(470×3)-220=3070円
払い戻しで戻ってくる金額は3070円
回数券はどこで買えるの?
原則として、回数券を購入できる駅は「買おうとしている回数券区間の両端の駅」です。
(たとえば、東京~横浜の回数券を買う場合は、東京駅または横浜駅で買えます)
クレジットカードでも買えるので、しっかりポイントもいただきましょう。
なお、一応旅行会社でも買うことはできます。
できるのですが
「その旅行会社の支店から離れているエリアの回数券は発売しない」「そもそも回数券そのものの発売を受けつけていない」などお店によって取り扱いが違うようなので、購入を考えている場合には注意が必要です。
もし買えるとしても、旅行券での購入はできないので注意しましょうね。
回数券の乗り越しについて
乗り越し方法は「打ち切り計算方式」
「打ち切り計算方式」とは
「今持っている回数券で行けるギリギリの駅でいったん降りて改札を出たと仮定し、その駅であらためて乗り越ししたい駅までのきっぷを買ったとみなし、その運賃を乗り越し駅で精算する」というものです。
こう書いてもわかりにくいので、具体例を見てみましょう。
例:東京駅から静岡駅までの回数券を持った状態で、静岡駅の1駅向こうの安倍川(あべかわ)駅まで乗り越した場合
今持っている回数券で行けるギリギリの駅(この場合は静岡駅)でいったん改札を出たと仮定する。
そして、静岡駅で乗り越しする駅(この場合は安倍川)までのきっぷを買ったとみなして精算する。
よって「静岡駅から安倍川駅までの1駅分のきっぷ代」190円を追加で支払って精算する。
回数券の乗り越しで損するパターン
ところで
「回数券で乗り越しすると、損することがある」という話を聞いたことがありませんか?
この「打ち切り計算方式」は、どの区間の回数券でも同じように適用されます。
例:東京駅から神田駅までの回数券を持った状態で、一駅先の秋葉原駅まで乗り越す場合
東京~神田駅間は140円区間(初乗り区間)で、回数券の値段は1枚あたり約127円。
回数券で秋葉原まで乗り越す場合は
神田駅でいったん改札を出たと仮定し、神田から秋葉原の140円のきっぷ代を買ったとみなして精算しないといけません。
つまり、約127円+140円=約267円を払うハメになります。
いっぽう
東京~秋葉原のきっぷ代も初乗りの140円です。
この場合は回数券をいちいち使わずに、紙の切符を買うかICカードで移動したほうがずっと安いという事ですね。
特急や新幹線にも乗れるの?
「特急券」というきっぷを追加で購入すれば、回数券でも特急や新幹線に乗る事が可能です。
在来線経由の回数券であっても、特急券を買えば新幹線に乗れるケースが多くあります。
これは、日本の新幹線の多くの路線では、並走する在来線と同じ路線扱いするためです。(例外の区間もあるので事前に確認を)
※在来線の回数券と特急券の組み合わせで、新幹線に乗った時の写真。
「大阪〜京都」「京都〜岐阜(岐阜羽島ではなく在来線の岐阜駅)」「岐阜〜名古屋」の回数券と、新大阪〜名古屋の特急券を組み合わせて乗車できた。
特急・新幹線に乗れるのは「普通回数券」の場合です。
それ以外の回数券(昼特きっぷなど、ローカルエリアで販売される格安回数券など)では、特急・新幹線を利用できない場合があるので、ルールをよく確認しておきましょう。
通しのきっぷより安くなる?回数券で乗り越して得する事例
さきほど、回数券の乗り越しは打ち切り計算方式であると書きました。
損をする場合もあるイメージの打ち切り計算方式ですが、実はそのおかげで得をすることもあります。
ここでは、大阪から、滋賀県の大津駅までJRで移動する場合を例にして解説します。
大阪から大津まで、1枚の定価のきっぷの値段は970円です。
そして、大阪から京都までの回数券の値段は1枚あたり約458円。
さらに、京都から大津までの定価のきっぷの値段は200円です。
大阪から京都までの回数券を持っている場合に大津まで乗り越すとどうなるでしょうか?
この場合、乗り越し精算で払う金額は打ち切り方式で計算をするので、京都から大津までの区間の200円となります。
つまり、回数券+200円で大津駅の改札を出る事ができるわけですね。
なんと、458円+200円=658円で大津まで行く事ができるのです!
定価の普通のきっぷ970円と比べて、とってもおトク。
仮に回数券1枚の値段が定価の560円だと考えても、560円+200円=760円。
大阪~大津の通しのきっぷの値段よりも安くなることがわかります。
いっぽう
回数券ではなく普通のきっぷで乗り越しすると、結局通しの970円と同じ金額を払うことになります。これは回数券と普通のきっぷで乗り越し計算方法が違うからです。
これは、きっぷを2つ以上の区間に分けて買った方がトータルのきっぷ代が安くなるという「乗車券分割テクニック」というものを応用しているのです。
2枚のきっぷを買ったわけではないですが、打ち切り計算方式のおかげで、実質同じ効果を得ることができるわけですね。
金券ショップでもよく使われているワザですが、「なんでこれできっぷ代が安くなるの?」ということについてはこの記事を参照ください:割り切れぬ人生を今宵は忘れて・・・JR乗車券分割の仕組み注意点
・・・というわけで、「ふつーの」回数券も、結構奥が深い・・・そんなお話でした。
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