まったくもってややこしい、JRのきっぷの仕組み。
「なんでめちゃくちゃ遅れて駅に到着したのに、新幹線のきっぷは全額払い戻しされないんだ!」
なんてクレームがあった・・・そんな話も
台風などの季節には
ネットやテレビのニュースでチラホラ聞こえてきたり・・・。
いろいろ細かいルールがありますが
実はある点を押さえておけば
JRのきっぷのルールは80%理解したも同然なのです。
それが
「乗車券」と「特急券」の意味。
※実は大きく分けると2種類ある、JRのきっぷ。
それが「乗車券」と「特急券」だ!
今回は
奥深い2つのきっぷの世界をご案内いたしましょう・・・。
もくじ
乗車券と特急券の意味と違い
新幹線や特急に乗る場合は
「乗車券と特急券」
2枚のきっぷが必要です。
この2枚のきっぷのそれぞれの意味と違いはどのようなものでしょうか?
「目的地まで送り届ける」ことを約束する「乗車券」
乗車券とは、簡単に言うと
「目的地の駅まで、JRが無事にあなたを送り届けることを約束するきっぷ」のことです。
もっとも重要な約束事ですから
とにかく、このきっぷがないとどこにも行けませんね。
各駅停車でのんびり進もうが、新幹線で進もうが
必ずこの乗車券は買わないといけません。
「無事に目的地まで送り届ける」ことが乗車券の役割なので
仮に乗っていた列車が予定よりも大幅に遅れて到着したとしても、あなたの体が無事に目的地まで着いたのであれば乗車券の役割は果たされたわけですから、払い戻しなどは一切ありません。
新幹線が予定より2時間以上遅れて目的地に到着した場合、乗車券部分のお金は戻ってきません。
理由は先ほどの通りですね。
これを知らないと
「全額返せ!」とか言って結構揉めそう・・・。
もちろん
災害などで目的地までたどり着けずに引き返す場合は
「目的地まで送り届ける」という、乗車券の役割を果たせなかったことになるので全額返金されますよ!
「短い時間で目的地に着く」ことを約束する「特急券」
特急券とは
「特急列車や新幹線など、普通列車に比べて所要時間が短い列車に乗る場合に買うきっぷ」のことです。
普通列車とは
「各駅停車と、名前に「快速」の文字が入る列車(特別快速・新快速なども含まれる)」
と覚えておけばよいでしょう。
言い換えれば
普通列車は特急券を買わなくても乗車券だけあれば乗れるということですね。
「普通列車よりもスピードが速くて短い所要時間で目的地に行けるんだから、その分料金は多めに払ってね☆」という意味合いです。
一番の目的は
「スピードが速い列車に乗ること」ではなく
「普通列車よりも目的地へ短い所要時間で着く」ことです。
なので、列車自体が遅れると
目的地へ短い時間で着くメリットが無駄になるので
2時間以上特急・新幹線が遅れた場合は、特急券は全額払い戻しになりますよ!
また
普通列車に比べると設備が快適な事が多いので(リクライニングがあるなど)
その設備利用料としての意味合いも含まれます。
だから
「特急と快速の所要時間がほとんど同じ」区間でも、特急に乗る場合は特急料金がとられるんですね。
遠い昔、昭和のころ。
「エアコン(クーラー)がついている」事自体が特急の特長だった時代があり(その他の列車は扇風機)
クーラーが無い車両で運転されたり、クーラーが故障した際は
特急としての設備サービスの一部がなくなるという事で特急料金が100円引きされた・・・というようなこともありました。
こいつらみんな「乗車券」
あまり「乗車券」という呼び方はしませんが
以下のようなきっぷ達も
「乗車券の一種」です。
ゆかいな「乗車券」のなかまたち
・回数券
・定期券
・青春18きっぷ
・北海道・東日本パス
・都区内パス
・休日おでかけパス
・関西1デイパス
・SuicaやICOCAなどのICカード(「IC乗車券」と呼ぶことがある)
などなど・・・
これらのきっぷだけを持っていても、JRで移動する事ができますよね?(乗れる列車の制限などはあるにしても)
それこそが、乗車券であることの証なのですよ。
青春18きっぷなどのフリーパスや、特典のあるきっぷを
「特別企画乗車券」と呼んだりします。
乗車券と特急券の組み合わせアレコレ
乗車券と特急券は、どういう組み合わせで買うのが正しいのか?
パターン別に、いくつかの具体例を見ていきましょう。
正統派?「乗車券の区間=特急券の区間」となるパターン
例:名古屋~静岡を新幹線(自由席)で利用する場合
乗車券:名古屋~静岡間
3410円
特急券:名古屋~静岡間
2530円
合計:5940円
乗車券と特急券の区間がピッタリ一致している、とってもキレイなきっぷの組み合わせですね。
特に問題はありません。
むしろ、こんなにピッタリ一致するほうが珍しい?
とことん安く!「乗車券の区間>特急券の区間」となるパターン
例:東京~甲府を旅行する場合で
東京から立川まで中央線の快速を利用し
立川から特急「あずさ」で甲府まで利用する場合
必要なきっぷの組み合わせは
乗車券:東京~甲府間
2310円
特急券:立川~甲府間
1020円
合計:3330円
道中で「快速を使う区間」と「特急・新幹線を使う区間」が混在していたとしても
乗車券はあくまでも「出発する駅から到着する駅までの通し」で購入します。
なので、乗車券は当然
「東京駅から甲府駅まで」を買います。
一方、特急券は
「特急(新幹線)に乗りたい区間」だけでOK。
普通は
東京から甲府まで特急で移動する場合
「東京駅から甲府駅まで」
「新宿駅から甲府駅まで」
どちらかの特急券を買うのが一般的です。
(どちらも1580円)
でも、立川までは普通の通勤電車に乗り
立川から特急へ乗り換え・・・
にすると
「立川駅から甲府駅まで」
で、特急料金は1020円で済みます。
特急に乗る区間が短くなる分
料金が安くなるのですね。
紙のきっぷの場合はもちろん
「えきねっと」などのウェブ予約で購入する特急券でも、基本的なルールは同じです。
所要時間は、東京・新宿から特急に乗った場合とそんなに変わらない・・・
なんてこともあるぞ!
これはダメ!「乗車券の区間<特急券の区間」となるパターン
特急券の区間が乗車券の区間をはみだしてしまっている場合は
特急券の区間分JRに乗ることはできません。
例:東京から名古屋への新幹線の特急券と、東京から静岡への乗車券を買った場合、名古屋まで行くことはできない。
乗車券が最低限必要なきっぷであることを肝に銘じておきましょう。
間違ってきっぷを買ってしまい変更する時間が無い場合は、乗車券で行ける範囲まで移動するか、乗車券を乗り越し精算するなどの対処をしましょうね!
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