令和の時代となった現在でも、たまに日常生活で聞こえてくる言葉。
それが「鈍行(どんこう)」。
2018年に発表された楽曲などにも、このフレーズが登場しています。
(ももいろクローバーZ「Re:Story」に「鈍行列車」という言葉が出てくる)
「にぶい」という言葉が使われていることから
いかにも遅そうな、ポンコツ感満載のこの言葉ですが
いったいどういう意味なのでしょうか?
(以下、業界用語が出てきますが、全てJRにおける定義を前提に書いていきますので、私鉄などとは解釈が異なる場合があります。あらかじめご了承ください)
鈍行という言葉の正式な意味は定義されていませんが
ネタだと思って読んでみてくださいね!
もくじ
本当にポンコツ?「鈍行」の意味に迫る!
「鈍行」の一般的な定義
「鈍行」はあくまでも俗語なので、ひとつの決まった定義はないのですが
ネットで検索してみると、おおむね以下のような意味だと考えられます。
(急行に対して)各駅停車または普通列車・電車の俗名。
Weblio辞書より
「会社員の用語」という情報もあるので
昭和時代(またはそれ以前)のサラリーマンが使い始めた言葉だと推測されます。
ポイントは
「急行」「普通列車」という2つの言葉。
これがキーワードになってきます。
え?あの電車って「急行」だったの?
現在私鉄では「急行」と呼ばれる列車が数多く運行されており
「特急の次に速い列車」くらいのポジションにいます。
しかし、JRでは「急行」とは
「急行」と「特急」そして「新幹線」の3つを指す言葉として使われます(「優等列車」とも呼ぶ)。
JRにおける「急行」の意味
乗車券にプラスして、急行券というきっぷを上乗せして買わないと乗ることができない列車を指す。
大きく2種類に分けられる。
●普通急行・・・いわゆる「急行」
JRでは、2016年に引退した「はまなす」以降、毎日定期的に走るものは存在しない
●特別急行・・・いわゆる「特急」
また、新幹線も同じ種別である。
上記の列車に乗るために必要なきっぷをまとめて「急行券」と呼ぶ。
(「急行」に乗るために必要なきっぷは「普通急行券」、「特急」に乗るために必要なきっぷは「特急券」など)
「普通急行券」と「特急券」
2つのきっぷがある、ということね!
在来線特急(あずさ、踊り子、サンダーバードなど)と新幹線は
ぜんぶひっくるめて同じランクの「特別急行」なのです!
ちなみに、1975年までは
東海道新幹線「ひかり」には
正式に「超特急」という種別が与えられており、このときだけは別格の扱いでした
(でもその当時から「こだま」は在来線特急と同じ種別扱い・・・)
名実ともに、「ひかり」は今の「のぞみ」より格上だったわけね!
気持ちいい速さで走る鈍い列車?
いっぽう
JRにおける「普通列車」とは
●各駅停車
●「快速」という名のつく列車
(新快速・快速アクティ・特別快速・中央特快などなど)
●ホームライナー
主にこれらの列車のことを指します。
つまり
これらの列車も(JRの定義で解釈すると)「鈍行」ということになります。
実際「青春18きっぷで日本全国の鈍行に乗り放題」という言葉をたまに耳にします。
快速も18きっぷで乗れるので、正しい言葉の使い方だといえるでしょう!
「快」という言葉には
「気分・気持ちがよい」という意味があるそうです。
気持ちいい速さで走る鈍い列車・・・。
新幹線並みに速い鈍行もある
※JR西日本が誇る「最強の普通列車」新快速。
普通って、すごい!!
最長で「福井県の敦賀(つるが)から兵庫県の網干(あぼし)までの約235キロ」を疾走する(2019年1月現在)
最強の普通列車「新快速」。
最大のアピールポイントは
「最高時速130キロ」という、特急も真っ青なそのスピード。
実際、特急と並走する区間(主に京都~姫路間)では、在来線特急と2~3分程度しか所要時間が変わらないというから驚き。
(参考:上野東京ラインでは、だいたい110キロが上限)
いっぽう
JR東日本の新幹線の上野~大宮間では、騒音などの問題により本来のスピードを出せず、今年の夏にやっと最高時速を130キロまで引き上げたところなのです。
やっと新幹線が新快速(鈍行)に追いついた・・・
とも言える・・・かしら?
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