きっぷのルール

歴史を知ればよく分かる!JR新幹線在来線特急乗継割引とは?

東海道新幹線

※ちょっと細かくややこしい、JRの乗継割引。でも鉄道の歴史を知れば、スラスラ意味が理解できるようになる!

 

今回は、
JRの新幹線と在来線との乗り継ぎ割引の仕組みについてお話します。
はじめにJRの昔話を少ししますが、歴史を振り返った方が制度の意味を理解しやすいのでご了承くださいね。

 

鉄道昔ばなしで理解する「乗継割引」

新幹線誕生以前の特急たち

遠い昔のこと。
まだ新幹線なんて存在しなかった時代には、一本の列車が遠くにある街同士を結んでいました。

 

例えば東京駅から出発する列車の行き先には、朝から晩まで
「鹿児島」「長崎」「宮崎」
「紀伊勝浦」「浜田(山口県の山陰側の街)」などなど

 

「えっ!?そんなところまで1本で行けるの?!」

というようなバラエティ豊かな行き先の列車が、人々の旅情を掻き立てたものでした。

 

つまり、1本の列車で
乗り換え無しで、日本の色んな街へ向かうことができたわけですね。

また、1本の列車で行くことができたということは
特急券も通しで1枚買えばよかったので、長距離を移動する際は比較的割安で済んだ・・・ということでもありました。

新幹線誕生、そして特急たちは・・・

時は流れ
新幹線が日本の各地にその勢力を広げていきます。

 

すると
「大きな街までは新幹線で向かい、そこから在来線の特急や急行に乗り換えて目的の街へ向かう」
というスタイルが主流になっていきました。

 

しかし、これにより
「今まで1本の特急で行けていたのに、新幹線のせいでわざわざ2本の列車に乗らないといけなくなり料金が高くなった」という現象が発生。
基本的に特急券は1つの列車につき1枚買うのがルールなので、2枚買うと通しの料金が適用されなくなり割高になってしまうんですね。

 

そこで、せめて料金的には
1本の列車で移動できた頃に近くなるように
在来線の特急や急行の料金を半額にすることで、全体の料金を2本の列車が1本に合体したかのように緩和する・・・。

これが、乗り継ぎ割引誕生秘話なのでございます。

乗継割引のさまざまなルール解説

乗継割引の概要

簡単に乗継割引をまとめると

“特定の”新幹線の駅その他在来線の駅で、新幹線から在来線の特急にその日のうちに乗り継いで移動する場合、在来線特急の料金が半額になる。また、逆に在来線特急から新幹線にその日のうちか、あるいは翌日に乗り継いで移動する場合も、在来線特急の料金が半額になる」

指定席でも自由席でも割引となり、それぞれの席の定価の特急料金がまるまる半額になります。

半額の計算方法は
「定価の特急料金を2で割る。割って出た1の位の端数は切り捨てる(四捨五入ではなく、0にする)」です。

例:特急「こうのとり」指定席を新大阪~城崎温泉間で乗継割引を適用する場合(通常期)

定価の特急料金は2250円。
2250÷2=1125
1の位は0にするので、1120円が割引後の値段となる

 

では、一つ一つポイントを詳しく見ていきましょうね。

乗継割引の対象となる駅は?

まず「乗り継ぎ割引が使える駅は、”特定の駅”。つまり全ての新幹線の駅ではない」ということ。どこで乗り継いでも割引になるというわけではないのです。

 

具体的にはこう定義されています。
(ざっと目を通すくらいでオーケー)

 

東海道・山陽新幹線の新横浜~新下関間の新幹線停車駅、東北新幹線及び北海道新幹線の新青森駅、上越新幹線の長岡駅・新潟駅、北陸新幹線の長野駅・金沢駅、北海道新幹線の新函館北斗駅大阪駅(新大阪駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る)、坂出駅・高松駅(坂出駅及び高松駅は岡山駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る)、直江津駅(上越妙高駅に直通して運転する在来線の特急・急行列車に乗車し、上越妙高駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る)、または津幡駅(金沢駅に直通して運転する在来線の特急・急行列車に乗車し、金沢駅で新幹線と乗り継ぐ場合に限る)で新幹線から在来線の特急・急行列車にその日のうちに乗り継ぐ場合、在来線の特急・急行料金、指定席料金が半額になります。在来線から新幹線へ乗り継ぐ場合は在来線の乗車日かその翌日でも割引になります。

※JR東日本ホームページより抜粋

 

実は、東京駅や品川駅、上野駅などは対象外なんですね。

なので、例えば新大阪から東京駅まで新幹線で向かって、東京駅で千葉(房総半島)方面の特急に乗り換えても、その特急は割引にならないのです。

 

なぜかというと、あくまでも推測ですが

 

かつて日本を結んだ様々な特急・急行は、東京駅を起点に
特に北へ向かう列車は上野駅を起点に走っていました。

つまり

東京駅や品川駅、上野駅をルートの中間に挟んで街同士を1本で結ぶ特急や急行は、ほとんど存在しなかったわけです。

 

たとえば大阪から東京駅を経由して千葉へ向かう場合
今も昔も、直通する列車はなく(臨時列車などではあったかもしれませんが)
昔から東京駅で乗り換えが必要だったという事です。

 

なので
もともと乗り継ぎ割引が出来た経緯からすると
「別に東京駅や上野駅で乗り継ぎ割引作る意味なくね?」
ということになったのだと思います。

 

昔は、本州からの九州の玄関口である小倉や博多でも乗り継ぎ割引があったのですが、なぜか九州新幹線が出来た頃に廃止にされてしまいました・・・。
今でも、大分や宮崎、湯布院などに行くのに便利なはずなんですがね・・・。

 

大事なことは
「全ての新幹線の駅で乗り継ぎ割引が使えるわけではない」ということです。
ここは忘れないようにしてくださいね。

 

ちなみに、大阪駅や直江津駅など
新幹線が直接停まらない駅でも乗り継ぎ割引が適用できる場合があります。
これらの駅はすぐ近くに新幹線の駅があるのですが(新大阪、上越妙高)
大阪駅あるいは直江津駅発着の特急が存在するためです。

乗継割引が適用されるタイミングは?

次に、乗り継ぐタイミングですが
基本的には「同じ日に乗り継ぐ」と覚えておきましょう。

在来線特急から新幹線に乗り継ぐ場合のみ「その日のうちか、あるいは翌日」となっていますが
これは、昔夜行列車が多く走っていたことの名残です。

例えば、青森から夜行の在来線特急に乗って、翌朝新大阪に到着。
そこから新幹線に乗り継ぎ・・・。

このような場合、新幹線に乗るのは
在来線特急に乗りこんだ日の翌日となるので、翌日の乗り継ぎでも割引オーケーよ、という制度の名残なのです。

そのため、例えば新大阪まで在来線特急で来て、大阪市内で一泊してから
新幹線に乗り継ぐ事はオーケーです。
(例:特急「くろしお」で和歌山方面から新大阪に来て、大阪で一泊し翌日の新幹線を利用する場合は「くろしお」特急券も割引の対象となる)

逆に新幹線で新大阪まで来て、そこから在来線特急に乗り継ぐ場合は
その日のうちに乗り継がないと割引が適用されません。

何が割引になるの?ならないの?

一年中、自由席でも指定席でもどちらでも割引は適用されます。
なお、グリーン車の場合は特急料金は半額になりますがグリーン料金や寝台料金の部分は半額にはなりません。
(注: 新幹線・特急のグリーン車に乗るには、特急料金とグリーン料金という2つの料金を払う必要あり)

例:「特急サンダーバード」で乗継割引で大阪~金沢間をグリーン車利用する場合

特急料金(2380円)+グリーン料金(4110円)の合計6490円の内
特急料金部分が半額となり、1190円になる。
よって、1190円+4110円=5300円となる

 

新幹線をはさんで2つの特急を乗り継ぐ場合の割引

最後に、
新幹線を挟んで2つの在来線特急に乗る場合ですが・・・

 

その場合は、
どちらか料金が高い方1つが乗継割引の適用になります。

 

 

 

以上が、JRの新幹線と在来線特急の
乗り継ぎ割引の概要でした。
在来線どうしの乗り継ぎもあるのですが、それはまた別の記事にて・・・。

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