「地獄への片道きっぷ」
という言葉があるように
「目的地へ行ったきり帰ってこれない」
そんなイメージの「片道」。
でも、簡単そうな言葉ほど
実は、深い意味があったり
正確に答えられなかったりするんですよね・・・。
だいたい
「元の場所に帰ってこれる片道きっぷ」
だって、あるんですよ。
元の場所に帰ってこれるって
それって「往復きっぷ」
の間違いじゃないの?!
今回は、そんな奥深い
「片道きっぷ」の世界を
のぞいてみることにしましょう。
というトリビア的な内容から
「片道」で激安の鉄道旅行ができる?!
そんなお得な話まで
ご紹介しますので
最後まで
読んでいってくださいね!
もくじ
「片道きっぷ」の本当の意味とは?
![](https://terinn.info/wp-content/uploads/2017/02/nouturn-300x300.jpg)
「同じ駅を2度通らない」が絶対条件
「片道」とはズバリ
「同じ駅を2回通らない」
という意味です。
同じ駅を2回通ってしまうと
その時点で「片道」ではなくなってしまいます。
「2回同じ駅を通らない限りは、ずっと片道」
ということですね!
ルートの選びかた次第では
何千キロ、いや
1万キロを超える片道きっぷも作ることができますよ!
これを別の言い方にすると
「移動するルートを線図で表したときに、線が重なったり、線が交差する箇所が無い」
といえます。
※「線が交差する」の例。
4番から5番のルートに向かう際に、点Aで線が交差する
(点Aが交差点になるイメージ)
4番の線が点Aに来た時点で
片道のきっぷの計算が打ち切りになります。
折り返したら「片道」を卒業です!
※東京から新大阪へ向かってから、再度東京方面へ折り返すと、その瞬間「2回京都を通る」(線が重なる)ことが確定するので、「片道」から卒業しなくてはいけない
ある駅で、今来たルートへ折り返してしまうと
さっき通ってきた駅をまた通ることになります。
これは「2回同じ駅を通る」
ことになるので
「どこかの駅で折り返した時点で、片道きっぷでは無くなる」
片道きっぷを
卒業しなくてはいけません。
「片道」を卒業してしまった以上
進路先は2つしかありません。
・新大阪から再度新しい「片道」としてやり直す
(新大阪発の、もう1枚の新しい片道乗車券ができる)
・「片道」以外の乗車券になる
(後述する「往復」か「連続」の道を歩むことに)
運賃の計算はまたイチからやり直しになります。
ルートがぐるっと1回転してもOK?!
ここに、1枚の
へんてこな片道きっぷがあります。
![](https://terinn.info/wp-content/uploads/2017/02/machida.jpg)
どういうこと?!
※町田(東京都)から町田の片道きっぷのルート図。
図にしたときに線が重なっている箇所が無いので、最後に町田駅まで向かっても片道の条件は維持したまま。
このように
「大きく輪を描くようなきっぷ」
でも、片道きっぷとして成立することができます。
「片道」以外の種類のきっぷはどんなもの?
「片道」への理解をより深めるため
「片道」以外の種類のきっぷについても見てみましょう。
「片道」の対義語「往復」の意味は?
「片道」よりはイメージしやすい
「往復」。
「往復」とは
「A駅とB駅の間を移動する際
行きと帰りで、全く同じルートを通るきっぷ」
さらに厳密に表現すると
「A駅~B駅間で、間にあるすべての駅を2回ずつ通るきっぷ」
これが
「往復」の正確な意味です。
と、結果的に
「行きと帰りのルートが全く同じになる」
というわけですね!
「片道」にも「往復」にもなれない「連続」
「同じ駅を2回通らない」
のが片道
「すべての駅を2回通る」
のが往復
だとすれば
他に考えられるのは
「全てではないが、一部の駅を2回通る」
パターンです。
この
「片道」にも「往復」にもなれなかったきっぷのことを
「連続きっぷ」と呼びます。
※「東京駅から富士駅まで向かい(東海道本線)、富士駅から富士宮駅に寄り道して(身延線)、再び富士駅に戻り静岡駅まで(東海道本線)」向かうルート。
この場合「富士~富士宮間だけ」2回駅を通ることになる(この区間だけ線が重なる)
この場合
「東京から富士宮」
「富士宮から静岡」
2枚のきっぷが、2枚1組で発券されます。
「連続」ってなにそれ?おいしいの?
JRのきっぷの中でも地味な存在である「連続きっぷ」のメリットなどについては
この記事で詳しく解説していますよ!
>>>地味ぃなJR「連続乗車券」の意味とメリットとは?
「片道きっぷ」で、魅惑の激安往復旅行?!
片道の方がきっぷ代が安い!?
まずは
こちらの2つの図を見ていただきたい。
![](https://terinn.info/wp-content/uploads/2019/09/shinkansenn-2.png)
![](https://terinn.info/wp-content/uploads/2019/09/koriyama-1.png)
大阪⇔静岡の往復
片道あたり376.2キロ
往復で752.4キロ
運賃は
往復で12760円
(片道6380円)
大阪→郡山(福島県)の片道
783.1キロ(東京経由)
運賃は11000円
(新幹線に乗るために必要な特急券の値段は別)
大阪→郡山の方が距離長いのに、大阪⇔静岡の往復よりきっぷ代の方が安いよ?
どうして・・・?!
601キロ以上で「片道」の本領発揮!
JRのきっぷ代は
出発駅と目的地の駅の間の距離によって「階段式に」決まります。
JRにおいては
601キロ以上の超長距離では
プラス200キロごとに
運賃が1540円ずつ上がる
という規則性があります。
(本州の幹線の場合)
<JRの片道乗車券運賃>
601キロ以上640キロまで
9790円
801キロ以上840キロまで
11330円
1001キロ以上1040キロまで
12870円
1201キロ以上1240キロまで
14410円
(JR本州幹線運賃表より、消費税10%時)
厳密には
40キロごとに運賃が少しずつ上がってます。
運賃表を見ると
200キロ増えるごとに、1540円ずつ運賃が上がっているのが分かりますね。
大阪~名古屋間、大阪~岡山間、東京~静岡間などに匹敵しますね。
かなりお得です!!
このように
距離が伸びると運賃がだんだん割安になる事を
ムツカシイ言葉でいうと
遠距離運賃逓減制と呼びます。
「往復」より安い「片道きっぷ」
なぜ、大阪→郡山の方が
距離が長いのに運賃が安かったのか?
大阪→郡山は、片道の距離が600キロを超えています。
なので、割安の運賃になったのですね。
いっぽう
大阪⇔静岡は、片道あたりの距離が400キロ足らず。
600キロには遠く及びません。
「それほど割安でない運賃」×2倍
になっているので
結果
大阪→郡山の運賃の方が安かったのです。
ここから導き出される
結論は・・・?!
「往復」より「片道」の方が安い!!
(多少片道の方が距離長くても)
ようこそ「一筆書ききっぷ」の世界へ
さきほどの
「町田から町田まで」の
乗車券を、覚えていますか?
輪を描くようなルートになっていましたね。
1枚の片道きっぷで
町田駅を出発して、町田駅まで帰ってくることができます。
1枚の片道きっぷだけで
旅行ができるんですね!
この事と
「似たような距離なら、片道の方がきっぷ代が安く済む」
を組み合わせると
導き出される
答えは・・・?
「単純に往復するよりも
(多少遠回りすることになっても)1枚の片道きっぷで旅行するほうが、きっぷ代が安く済む!!」
※大阪を出発し、名古屋・東京・高崎(群馬)・長野を経由し、ぐるっと1周して大阪まで帰ってくる一筆書ききっぷ。
単純な大阪⇔東京の往復運賃が17500円(消費税8%時代、新幹線経由)だったので、それに比べて3680円も安かった。
まさに一石二鳥ね!
この
「一筆書ききっぷ」こそ
片道きっぷの
最大限の有効活用法なのです!!
もう少し詳しく教えてもらわないと・・・
この一筆書ききっぷについては
なかなか奥深いので
別の記事で
さらに詳しく解説しています!
一部、今回の記事と内容が重なりますが
興味のある方は、ぜひ覗いてみてくださいね!
>>>往復より片道がお得?JRの「一筆書き切符」の仕組みとは?