きっぷのルール

券面表示の都区市内各駅下車前途無効とはどんな意味?使い方は?

東海道新幹線

こんにちは。
鉄道で日本を旅するのが大好き
「てりん」と申します。

 

今日は、JRの乗車券にまつわる謎のひとつ
「特定都区市内制度」に関するおはなし。

 

大阪~東京間などを新幹線で利用するとき、きっぷにはこのように表示されているはずです。

「新大阪(市内)」「東京(都区内)」
という風に書かれていますね。

大阪駅から東京駅まで、とか
天王寺駅から新宿駅まで、という表記にはなりません。

 

そして、きっぷには小さく

「券面表示の都区市内各駅下車前途無効」
「乗車券は都区市内各駅下車前途無効」

などと書かれています。

 

どうしてこうなってしまうのでしょう?

そして、このような表記のきっぷはどのように使えばいいのでしょうか?

 

今回は、こんなきっぷの基本的な使い方から
得する使い方、損してしまう人が損をしないような使い方まで詳しく解説します。

 

「○○市内」と書かれたきっぷの使い方

細かい仕組みは後の段落で書くとして。

まずは、「大阪市内」「東京都区内」などと書かれたきっぷ(以下「○○市内」と表記)をゲットしたら、どうやって使ったらいいんでしょうか?

その使い方に関して解説をしていきましょう。

乗車と下車に関する基本ルール

「○○市内」と書かれたきっぷは、その市内・都区内(東京23区内)をまるで1つの駅のように見立て

その市内のどの駅からでも旅行を始める(改札内に入れる)ことができるし、どの駅へも下りれる(改札を出れる)ようになっています。

 

例:新大阪(市内)から東京・品川(都区内)と書かれたきっぷで

杉本町駅(大阪市内の南端)から旅行を開始し

西荻窪駅(東京23区の西端)で下りることが可能
(乗り越し精算などは不要)

※東京23区内(東京都区内)の駅の全体図。
赤丸のところが西荻窪駅。

 

※大阪市内の駅。
赤丸のところが杉本町駅。

 

このほかに名古屋・神戸・福岡など全国に11の「○○市内」があります!
詳しく知りたい方はこちらのJR東日本の公式ページをどうぞ!

 

「○○市内」のきっぷの乗り越し方法

「東京都区内」「大阪市内」などと書かれた乗車券で市外へ乗り越しをする場合は、どのようなルールになるのでしょうか?

 

それは
「乗り越ししたい駅から、各都市のエリア内で、最も乗り越ししたい駅に近い駅までの区間の運賃を支払う」ことで精算が可能になります。

「乗り越ししたい駅から、各都市の中心駅までの区間の運賃を精算する」わけではないので注意!

 

ここでは、横浜市内を例に解説します。(中心駅は横浜駅)

※横浜市内の駅。一番東(東京寄り)にあるのが川崎駅、西(大阪寄り)にあるのが本郷台駅

 

例:大阪市内から横浜市内までの乗車券で、品川駅まで乗り越しする場合

この場合
横浜市内までの乗車券で川崎まで行けるという解釈になるので、品川駅に最も近い川崎駅からの乗り越し精算となります。

川崎~品川間の運賃は220円なので、これだけ支払えばOKです!

 

 

例:新潟から横浜市内までの乗車券で、上野東京ラインに乗って藤沢駅まで乗り越しする場合

藤沢駅は、この図の左端にある戸塚駅の、2駅大阪寄りにある駅です。
上野東京ラインは横浜駅から戸塚を経由して藤沢へ向かいます。

よって、藤沢での乗り越しは戸塚~藤沢間の運賃240円を精算・・・

するように思えますが
実は、戸塚の下に書いてある本郷台の方が藤沢への距離が近く、この区間の運賃は200円です。(本郷台の次の大船駅で上野東京ラインに乗り換え可能)

実際に乗る区間に関係なく、乗り越し精算は200円となります。

 

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「券面の都区市内各駅下車前途無効」の意味は?

きっぷの下に
「券面の都区市内各駅下車前途無効」
または
「乗車券は都区市内各駅下車前途無効」
と書かれています。

この意味が気になる方もいるんじゃないでしょうか?

 

基本的に
片道の距離が101キロ以上のJRのきっぷは、途中下車が可能です。

 

途中下車とは
「その乗車券の最終目的地の駅へ向かうまでのルート上にある途中の駅で、乗車券を回収されること無く改札の外に出て観光などをし、ふたたびその乗車券を持って改札内へ入り、続きのルートを旅行することができる」
というものです。

 

大阪市内から東京都区内(東海道新幹線経由)の乗車券であれば
片道8750円で、ルートの途中にある駅(京都や名古屋、静岡など)で改札の外に出て観光などをすることができるのです!

二度同じ駅で途中下車したり、今来た道を引き返したりしなければ、何度でもどんなに小さな駅でも途中下車が可能です。

 

ただし「特定都区市内制度」の乗車券では、きっぷに書かれている都市の駅では途中下車できないルールになっています。

たとえば、大阪市内から東京都区内(東海道新幹線経由)の乗車券は

大阪駅から出発したら、いったん大阪市を出るまでは途中下車が出来ず(新大阪で途中下車できないなど)

さらに東京23区内に入ったら、どの駅でも途中下車ができない(一度降りたら、そこで乗車券が回収される)ということになります。

 

「券面の都区市内各駅下車前途無効」というのは、これらのルールのことをお堅い言葉で記載しているのです。

 

乗車券と特急券が1枚になったきっぷで途中下車する場合

 

JRのきっぷには
「目的地まで行くのに絶対に必要な『乗車券』」
「新幹線に乗るのに必要なオプション『特急券』」
の2種類があります。

 

新幹線に乗るには「乗車券+特急券」が必要で

上の写真のきっぷは

・大阪市内から東京都区内までの乗車券 8750円
・新大阪から東京駅までの特急券 4870円

が1枚にセットになっています(券ごとにきっぷを発行するのも資源のムダなので)

 

途中下車のルールは乗車券にのみ適用され、特急券には途中下車という考え方はありません。

なので、もし途中の名古屋で途中下車する場合

・乗車券は引き続き使える(追加の支払いは無し)
・特急券は名古屋で下りた時点で無効となり、再度名古屋から新幹線に乗る場合は、名古屋から東京までの特急券4100円(自由席の場合)を買いなおさなくてはいけない

という取り扱いになります。
(値段はすべて消費税8%時代のものです)

 

東京都区内・市内で途中下車をしたい場合は?

「東京都区内や市内で、いろいろな駅に立ち寄りたいので途中下車したい!」

という場合は、各エリアを越えた駅までのきっぷを買えばいいだけです。

 

たとえば
大阪から東京23区内の赤羽駅までのきっぷを買う場合、きっぷには「大阪市内から東京都区内まで」と表記され、東京23区では途中下車できませんが

赤羽の一駅先の、埼玉県の川口駅までのきっぷにすれば「大阪市内から川口行き」となり、23区内でも途中下車が可能になります。(品川や東京駅、上野などに立ち寄れる)

 

ただし、距離が伸びる分運賃が上がることが多いので、きっぷ代を比較して損か得かを判断しましょうね。

 

どのような条件で「○○市内」という表記になるのか?

「特定都区市内制度」って何?

JRでは、主要な10の市と東京23区を「特定都区市内」と呼んでいます。

そして、各都市に「中心駅」を指定しています(東京23区なら東京駅、大阪市内なら大阪駅という具合に。詳しくは後述)

 

目的地の駅がこれらの都市のいずれかにある駅の場合

きっぷの出発駅と、これらの都市の中心駅が201キロ以上離れている場合には

行き先が特定の駅ではなく「東京都区内」「大阪市内」という風に、「都市をあたかもひとつの駅であるかのように」表示され、その都市内にあるどの駅でも下りることができるという制度です。

また、その場合の乗車券の運賃は「出発駅からその都市の中心駅までの距離」をもとに計算します。

 

例:静岡駅から、天王寺駅(大阪市内にある駅)まで行く場合(東海道新幹線経由)

目的地が大阪市内にある駅で、なおかつ出発駅(静岡駅)と大阪市内の中心駅(大阪駅)の距離が201キロ以上ある(376.2キロ)ため、きっぷの行き先の表示は「静岡から大阪市内まで」となる。

天王寺駅はもちろん大阪市内のどの駅でも降りることが可能。

運賃は静岡駅から大阪駅までの距離を元にして計算され、片道6260円。
市内のどの駅に降りても運賃は変わらない。

 

実は
静岡駅から天王寺駅までの距離は386.2キロで(大阪駅経由の場合)、本来この距離だと運賃は1段階上がって6480円になるはずなのです。

ところが「特定都区市内制度」のおかげで、運賃は大阪市内の中心駅である大阪駅までの距離で計算されるので、6260円で済んだのですね。

 

今の例とは逆に
きっぷの出発駅が各都市内にある場合で、目的地の駅が出発地の都市の中心駅から201キロ以上離れている場合には

出発駅は「東京都区内」「大阪市内」という風に表示され、その都市内のどの駅からでも旅行を開始することが出来ます。

 

東京の山手線エリアから出発する(あるいは向かう)きっぷの場合で、東京駅から(まで)の距離が101キロ以上200キロ以下の乗車券は、出発地(あるいは目的地)に「東京山手線内」と表示されます。
「東京都区内」のミニバージョンという感じですね。
>>>途中下車で得をする?「東京山手線内」JRきっぷの範囲と使い方

日本全国の「特定都区市内」一覧

JRでは、日本の10の市と東京23区内を「特定都区市内」と指定しています。

 

日本全国の「特定都区市内」一覧

●札幌市:中心駅は札幌駅

●仙台市:中心駅は仙台駅

●東京都23区:中心駅は東京駅

●横浜市(といいながら川崎市である川崎駅も含む):中心駅は横浜駅

●名古屋市:中心駅は名古屋駅

●京都市:中心駅は京都駅

●大阪市(一部が東大阪市のおおさか東線を含む):中心駅は大阪駅

●神戸市(三田の近くにある道場駅をのぞく):中心駅は神戸駅。三ノ宮駅にあらず!

●広島市(安芸郡である海田市・向洋駅を含む):中心駅は広島駅

●北九州市:中心駅は小倉駅

●福岡市:中心駅は博多駅

 

神戸市の道場(どうじょう)駅は神戸市北区なのですが、他のJRの神戸市内の駅からとても離れている(飛び地のようになっている)ため、「特定都区市内」から外れています。

そのほか様々な事情で
一部の駅が除外されていたり、あるいは便宜上他の市町村の駅も含んだりしています。

 

「特定都区市内制度」で得する人・損する人

「特定都区市内制度」に該当する乗車券は、その都市の中心駅を基準にして運賃の計算をします。

そのおかげで、得する人と損する人が出てきてしまうようで・・・。

「特定都区市内制度」で得する人の例

例:静岡駅から、天王寺駅(大阪市内にある駅)まで行く場合(東海道新幹線経由)

先ほども出てきた例ですね。
本来であれば、静岡駅から天王寺駅までの距離は386.2キロで(大阪駅経由の場合)、この距離だと運賃は6480円になるはずなのです。

ところが「特定都区市内制度」のおかげで、運賃は大阪市内の中心駅である大阪駅までの距離(376.2キロ)で計算されるので、1段階低い6260円で済んだのですね。

 

これは「目的地の駅が、その都市の中心駅よりも、出発駅から見て遠い場合」のパターンにあてはまります。

この場合は本来の距離よりも短い距離で運賃計算するので、運賃が安くなり得をする可能性があるわけですね。

「特定都区市内制度」で損する人の例

例:名古屋駅から、品川駅(東京23区内にある駅)まで行く場合(東海道新幹線経由)

名古屋駅から品川駅までの距離は359.2キロで、本来この距離だと運賃は5940円になるはずです。

しかし、東京23区内の駅に行く場合は、運賃は中心駅の東京駅までの距離で計算されます。

東京駅は品川駅よりも遠いので(名古屋駅から見た場合)、名古屋~東京間の距離は366.0キロとなり、運賃は6260円になってしまうのです。

これは「目的地の駅が、その都市の中心駅よりも、出発駅から見て近い場合」のパターンにあてはまります。

この場合は本来の距離よりも長い距離で運賃計算するので、運賃が上がり損をする可能性があるわけですね。

「損する人」救出大作戦

では、損する人は泣き寝入りするしかないのでしょうか?

いえ、救済措置はあります。
その方法はズバリ
「乗車券分割テクニック」です。

これは「きっぷを通しで買うのではなく、いくつかの区間に分割して買うことで、きっぷ代を安くすることが出来る」というテクニックです。

具体例を見たほうが手っ取り早いので、早速見てみましょう。

 

例:名古屋駅から、品川駅(東京23区内にある駅)まで行く場合(東海道新幹線経由)で、乗車券を3つの区間に分割した場合

●名古屋~豊田町 117.2キロ 1940円
●豊田町~横浜市内 227.1キロ 3670円
●川崎~品川 11.4キロ 220円

合計 5830円
(定価の6260円より430円安い)

※豊田町や川崎は在来線の駅だが、名古屋から品川まで経路がつながっている乗車券なら、在来線経由でも新幹線に乗れる

 

ここでのポイントは

1.乗車券を分割したことにより「東京都区内行き」の乗車券がなくなり、不利が無くなった

2.豊田町から横浜駅までの距離で運賃計算された横浜市内の乗車券で、エリア内でもっとも品川に近い駅(この場合は川崎駅)まで行くことができるので、距離的にむしろ有利になった

の2点です。

 

また、名古屋から豊田町までの運賃は1940円。
これが一駅先の磐田までだと、距離が120.1キロとなり、ちょうど1段階運賃が上がって2270円になってしまいます。
つまり、運賃が上がるギリギリ手前の駅で区間を区切ることによって、コスパの良い運賃のきっぷを組み合わせることができたわけです。

101キロ〜120キロ区間の運賃は1940円です。
ということは、101キロ進んでも120キロ進んでも1940円。2枚組み合わせると202キロ進んでも240キロ進んでも同じ3880円ということになるので、区間の分け方次第で値段の割に距離を稼ぐことができるようになるわけですね♪

 

これらの計算を手計算で行うのは、至難の業です。

「乗車券分割プログラムの実行」という、分割乗車券の組み合わせを計算できるステキなサイト様があるので、計算してみたい人はぜひチャレンジしてみましょうね。

 

マニアックな話題あれこれ(マニア向け)

市内(都区内)同士の表記にならないパターン


ここに、1枚の乗車券がある。

 

これは、天王寺駅から名古屋駅へ旅行した際に発券したきっぷです。

天王寺駅は、大阪市内にある駅。
そして、名古屋駅は名古屋市内にある駅。

天王寺駅から名古屋駅までは201キロ以上あるので、行き先は「名古屋市内」と表記されています。

 

「ということは、大阪市内から名古屋市内という表記になるんじゃないの?」
と、思うのですが・・・。

 

もしそう表記されるとすると、それぞれの中心駅の大阪駅と名古屋駅間の距離で計算することになります。

しかし、大阪駅と名古屋駅の距離は200キロ以下(約190キロ。新幹線経由)しかないので、整合性がとれなくなってしまうのです。

 

ところが天王寺発となると
天王寺から名古屋駅までの距離は201.1キロとなり、市内都区内制度の要件を満たすことになります。

 

そこで、この場合は
きっぷ上「名古屋駅から201キロ以上離れている天王寺駅から出発しますよ」ということを明示するために「天王寺」という表記は残したまま、行き先のみ名古屋市内という表記になるのです。

 

また、この場合逆に名古屋から天王寺に向かうきっぷは
「名古屋市内→天王寺」と表記されることになります。

 

まれに行き先表記が複雑になる場合がある、というお話でした。

 

これは、2つの「特定都市」の距離が200キロに近い「大阪と名古屋」の間でだからこそ起こる珍しいパターンだといえるでしょう。

同じ特定都区市内を2回以上通る場合の取り扱い


ここに、1枚の乗車券がある。

行き先は、大阪から鶴舞(名古屋市内の駅)までの、いわゆる一筆書ききっぷです。

 

この乗車券の経由路線は
大阪→(東海道本線、名古屋駅経由)→品川→(山手線)→新宿→(中央東線)→塩尻→(中央西線)→鶴舞

※ルート図。
東京到着前に、一度名古屋市内を通過している

 

本来なら名古屋市内の鶴舞駅まで向かうので、きっぷの表記は「大阪市内→名古屋市内」となるはずですが

一度大阪からで品川に向かう際に名古屋駅を通過している(つまり一度名古屋市内を通過している)ため

同じ市内を2度通る場合には、行き先はその駅名で表示されることになります。

 

名古屋市内行きと記載されてしまったら、大阪から品川に向かう途中で名古屋市内の駅で途中下車できなくなっちゃうものね。

 

と、いうことで
2回以上同じ特定都区市内を通る場合のお話でした。

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