※長距離の移動といえば「往復割引」。JRなら、学割とダブルで使えるんです!
でも、いろいろと落とし穴もあるようで・・・。
この記事では、JRの学割のことについて書いていますが、内容はどちらかというと上級編です。
基本的なこと(きっぷの買い方や学割できっぷ代がどのくらい安くなるのかなど)を知りたい方は、この記事を読んでね!
詳しく解説!JR学割きっぷの買い方&距離や料金の計算方法
(まずはこの記事を先に読んでおくことをおすすめします)
こんにちは。
鉄道旅行大好き。
精神年齢なら子供運賃「てりん」と申します。
今回のテーマは
「JRの学割と往復割引について」です。
まず「往復乗車券がそもそも何なのか?」について
次に「往復割引と学割について」の話をしていきます。
JRの往復割引は、大人(社会人)になっても使えます。
今度のおでかけでオトクに移動するためにも、そして将来のためにも、ここでマスターしておきたいですね!
もくじ
往復乗車券ってどんなもの?
そもそも「往復」ってどういう意味?
往復とは
「2つの駅の間を、行きと帰りで全く同じルートで移動すること」をいいます。
(全く同じルート=全く同じ駅を2回ずつ通る、とも言えます)
つまり、仮に東京駅と名古屋駅の間を行って帰ってくる場合
「行きは東海道線(静岡県)経由」
「帰りは中央線(山梨・長野県)経由」
となる場合は、行きと帰りでルートが違うので、きっぷ的には往復とは言わないのですね。
また、行きも帰りも東海道新幹線を使う場合でも
「行きは東京から大阪まで」
「帰りは京都から東京まで」
こんなきっぷの場合も往復とはいいません。
(大阪~京都間の駅は1回しか通らないことになり、「全く同じ駅を2回ずつ通る」にあてはまらないため)
「往復乗車券」と「片道乗車券2枚」はこう違う
さて、帰省などで往復をする場合
きっぷの買い方は、主に2パターンあると思います。
・出発前は行きのきっぷのみ買い、現地(帰省先・旅行先)の駅で帰りのきっぷを買うパターン
・あらかじめ、出発前に行きと帰りのきっぷを同時に買うパターン
後日、帰りのきっぷを買うパターンでは
「行きの片道乗車券」をまず買い
その後、帰るときに「帰りの片道乗車券」を買うことになります。
よって、日付などがバラバラの片道乗車券を2枚買うことになり、学割証も2枚必要となります。
2枚のきっぷを買うんだから、当たり前の話ですね。
一方、出発前にあらかじめ行きと帰りのきっぷを買う場合
「往復乗車券1組」を買うことになります。
この場合、2枚で1組という扱いになるため、学割証は1枚で済みます。
以上のように、「往復乗車券」と「片道乗車券2枚」は意味が少し変わっています。
特急券には「片道」「往復」の区別はありません。
※往復乗車券。「ゆき」「かえり」と書かれた2枚1組の乗車券となる
昔は学割証の発行制限があり、1人年間10枚までしかもらえなかったため、学割証を節約するために必要な知識でした。
現在ではこの枚数制限は撤廃されているようですが、就活の時期などに多くの学生がたくさん学割証を請求するために、学校の在庫が不足して十分な枚数をもらえなかったりすることもあるようです。
なので、帰省する頻度が高い人や就活中の人は
念のため「往復乗車券として買えば、学割証は1枚で済む」ということを頭の片隅に入れておくといいと思います。
では、往復乗車券としてきっぷを買うのと、片道乗車券を2枚買うのとでは、ほかにどんな違いがあるのでしょうか?
「きっぷが紙切れになる前に」有効期限に要注意
その最大の違いは
「有効期間」です。
JRの乗車券の有効期間は、片道あたりの駅間の距離によって決まっています。
めちゃくちゃ簡単にざっくり書くと
「片道あたりの距離が100キロまでが1日。200キロまでが2日。その後、200キロ増えるごとに1日ずつ増える」
有効期間は、乗車券にきちんと書いてあります。
なお、特急券は区間にかかわらず1日しか有効期間がありません。
主要な区間の乗車券の、片道あたりの有効期間
・東京〜大阪 4日間 (556.4キロ)
・大阪〜名古屋 2日間(190.4キロ)
・東京〜名古屋 3日間(366キロ)
・東京〜岡山 5日間 (732.9キロ)
・東京〜函館 6日間 (880.4キロ)
※距離は片道あたりの営業キロ
往復乗車券として買うと、有効期間は片道の有効期間の2倍になります。
例えば
東京に住んでいる人が、往復乗車券を買って新幹線で7月20日に大阪に帰省する場合。
その有効期間は
7月20日から8日間(7月28日まで)となります。
つまり、7月28日までに東京に帰ってこないと、この往復乗車券の帰りのきっぷは紙切れになってしまうわけですね。
長期間の帰省だと、日にちが全然足りないおそれが出てきます。
このように
あらかじめ帰省前に往復乗車券としてきっぷを買うと帰りの日のリミットが決まってしまうので、「夏休みの間はずっと実家にいる」というような長いスケジュールでは使うことができません。
いっぽう、帰るときに帰りのきっぷを買う方法(片道乗車券を2枚買う)であれば、有効期限を心配する必要はありません。
「往復乗車券を買うか?片道乗車券を2枚買うか?」
学割証の残り枚数や、滞在の日数などを考慮して決めましょうね。
さあ、次はいよいよこの記事のメインテーマです!
学割もダブルで使える! JRの往復割引ってどんなもの?
JRの往復割引の概要
JRには、往復割引があります。その内容は
片道の距離が601キロ以上ある駅間を、あらかじめ往復乗車券を購入して移動すると、片道あたりの乗車券が1割引になる
「片道601キロ以上の距離を往復乗車券として買えば乗車券が1割引になる」
ということです。
さらに、この往復割引は学割と同時に使うことができるのです!
主な「片道601キロ以上」の区間(東京または新大阪を基準に)
・東海道新幹線の
東京から西明石駅と、それより西(広島・博多方面)
・北海道・東北新幹線の
東京から二戸駅と、それより北(八戸・新青森方面)
・山陽・九州新幹線の
新大阪から博多駅と、そこから先(長崎・熊本方面)
それでは、往復割引の具体例を見て行きましょう。
「東京に住んでいる人が岡山へ、7月20日から7月30日の間帰省する」
こんな例で考えてみます。
有効期間の数え方に要注意!
まず大事なことは
「往復乗車券の有効期間内に帰省・旅行のスケジュールがおさまるか?」
ここを押さえることが重要です。
帰りのきっぷが紙切れになるおそれがありますからね。
東京駅から岡山駅までの距離は片道732.9キロで、有効期間は5日間です。
往復乗車券の有効期間は、その2倍なので10日間となります。
「7月20日から30日までの帰省なので、30-20=10日間!
ちょうど有効期間内に収まるね!」
・・・なんて思った、そこのアナタ!
アウト~~!!
有効期間の日数は、旅行を始める日もカウントします。
なので、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29・・・
10回カウントすると、ラストの日は29日になってしまいます。
つまり、30日に東京に戻るスケジュールだと有効期間が切れてしまうので
往復乗車券では帰れなくなってしまうのでした~。しょぼん。
慣れればすぐに分かるようになるので、最初はきちんと指折り数えて確認しましょうね。
ということで、7月29日までの帰省に変えてもらうとして、話を進めましょう。
往復割引の具体的な計算方法
次は、「具体的にいくら安くなるのか?」ということ。
東京~岡山の乗車券の定価は、片道10480円です。
つまり、往復では2倍で20960円。
(新幹線に乗るのに必要な特急券は別に金額がかかります。特急券は学割の対象外)
まず、最初に往復割引の計算をします。
往復割引の計算は、片道の値段に0.9を掛け算します。(90%をかけてもOK)
10480円×0.9=9432円
割引をして出た1の位の数は0にします(四捨五入ではなく、切捨て)。
よって、片道の乗車券代は9430円になります。
往復なのでこの2倍で、18860円。
これが、往復割引を使った場合の合計の値段になります。
その後
往復割引の値段に、さらに学割の2割引をします。
これも、片道ごとにかけ算をしていきます。
往復割引後の片道の値段9430円×0.8=7544円
1の位は切り捨てるので、7540円。
つまり、往復では7540円の2倍で、15080円。
定価20960円が
往復割引×学割の組み合わせで、15080円になりました!(5880円オトク)
およそ28%引きになります。
「1割引+2割引だから30%割引だ!」・・・とはならないですね。残念。
お気づきの方もいるかもしれませんが、上記の作業は、0.9の掛け算と0.8の掛け算を2回するわけなので
「元の値段に0.72を掛け算する」場合の結果とほぼ同じになります。
この場合、切り捨ての関係で誤差は20円くらい出る場合がありますが、それくらいの誤差を気にしないのであれば、0.72の掛け算で一発で出ます!
・・・と、こんな感じです。
なお、往復割引と学割が適用された乗車券には、「往学割」という
いかにも合体した感じの言葉が印字されています。
旅行中の使い方は、ふつうの学割きっぷと変わりません。
学生証は常に携帯しておきましょうね!
距離を伸ばして往復割引をゲットしよう!
学割の話はだいたいこれで終わりですが、最後はおまけレベルのお話。
「移動する距離が600キロに満たないけど、600キロに近い。
往復割引が使えればいいけど、どうしよう・・・?」
そんな場合のお話です。
東京~大阪(556.4キロ)間や
東京~神戸(593.8キロ)間などを移動するときに役に立ちます。
途中で乗って、途中で降りる
JRのきっぷは
「きっぷに書かれた出発駅から乗って、書かれた目的地の駅に降りないと絶対にいけない」
そう思っていませんか?
実は、そんなルールはないのです。(一部の特殊なきっぷは除く)
2つの駅の間のルートの途中の駅から乗ってもいいし、最終目的地の手前の駅で降りて、そのままきっぷを捨てて旅行を終えてもなにも問題はありません。
(ルートから外れた駅から乗ったり降りたりするのはもちろんダメ!)
例:東京から新神戸までの乗車券を持って移動する場合(東海道新幹線経由)
ルートの途中にある新横浜駅から乗って、最終目的地(新神戸)の手前である新大阪で降りても良い。
(距離が短くなったからといって、返金対応はされない。ただし最終目的地までの距離が101キロ以上残っている場合は手数料を差し引いて払い戻し可能)
そうなれば、話はカンタン。
「距離を伸ばして、片道601キロ以上のきっぷにする」これで解決。
特に大きな効果を発揮する区間のひとつが「東京~神戸」間です。
東京~神戸の片道乗車券の定価は9290円。(学割適用後は7430円)
距離は593.8キロなので、ギリギリ600キロに届かない。
そこで、行き先をお隣の明石市にある、西明石駅まで伸ばしましょう。
東京~西明石間の片道乗車券の定価は9610円。
距離は601キロ以上なので、往復割引が適用されます。
往復割引で、値段は8640円に。さらにこれに学割を重ねると、6910円に。
なんと!
東京~神戸の学割7430円と比較して、片道あたり520円も安くなりました!
往復で1040円!これはバカにできない金額ですね。
きっぷの使い方はいたってシンプル。
新幹線で新神戸駅まで向かい(新大阪駅で乗り換えて三ノ宮駅でもOK。その他の西明石までにある神戸市内の駅でも降りれます)
そこで自動改札にきっぷを通すだけ。
万一自動改札でエラーが出たら、慌てず駅員さんに「途中下車です」と言って降りましょう。
これでおしまい。
逆に神戸から東京に向かう場合は、普通に神戸市内の駅で改札を通して、あとは東京へ向かうだけ。
おしまい。
以上のようなテクニックは「東京~大阪間」でも使えます。
東京~大阪の乗車券は片道8750円。(学割適用後は7000円)
これを、神戸の場合と同じく「東京~明石」の乗車券にして
往復割引と学割を適用させると、片道の値段は6910円。
つまり、片道あたり90円
往復で180円の得になるわけです。
・・・まあ、この場合はそんなに得にはならないけど
こういう方法もあるのね、と知ってもらえたら幸いでございます。
※百舌鳥(もず。大阪にある駅)~千葉(千葉県)の往復乗車券。
一見、千葉に向かうようなきっぷだが、実はこのときの旅の最終目的地は東京。
百舌鳥~東京の往復乗車券の値段は17920円(600キロに満たないので割引無し)。
これを無理やり千葉駅まで伸ばしたので、600キロを超えて、往復割引で合計17280円になりました。往復で640円の得。