「地獄への片道きっぷ」
という言葉があるように
「目的地へ行ったきり帰ってこれない」
そんなイメージの「片道」。
でも、簡単そうな言葉ほど
実は、深い意味があったり
正確に答えられなかったりするんですよね・・・。
だいたい
「元の場所に帰ってこれる片道きっぷ」
だって、あるんですよ。
元の場所に帰ってこれるって
それって「往復きっぷ」
の間違いじゃないの?!
今回は、そんな奥深い
「片道きっぷ」の世界を
のぞいてみることにしましょう。
というトリビア的な内容から
「片道」で激安の鉄道旅行ができる?!
そんなお得な話まで
ご紹介しますので
最後まで
読んでいってくださいね!
もくじ
「片道きっぷ」の本当の意味とは?
「同じ駅を2度通らない」が絶対条件
「片道」とはズバリ
「同じ駅を2回通らない」
という意味です。
同じ駅を2回通ってしまうと
その時点で「片道」ではなくなってしまいます。
「2回同じ駅を通らない限りは、ずっと片道」
ということですね!
ルートの選びかた次第では
何千キロ、いや
1万キロを超える片道きっぷも作ることができますよ!
これを別の言い方にすると
「移動するルートを線図で表したときに、線が重なったり、線が交差する箇所が無い」
といえます。
※「線が交差する」の例。
4番から5番のルートに向かう際に、点Aで線が交差する
(点Aが交差点になるイメージ)
4番の線が点Aに来た時点で
片道のきっぷの計算が打ち切りになります。
折り返したら「片道」を卒業です!
※東京から新大阪へ向かってから、再度東京方面へ折り返すと、その瞬間「2回京都を通る」(線が重なる)ことが確定するので、「片道」から卒業しなくてはいけない
ある駅で、今来たルートへ折り返してしまうと
さっき通ってきた駅をまた通ることになります。
これは「2回同じ駅を通る」
ことになるので
「どこかの駅で折り返した時点で、片道きっぷでは無くなる」
片道きっぷを
卒業しなくてはいけません。
「片道」を卒業してしまった以上
進路先は2つしかありません。
・新大阪から再度新しい「片道」としてやり直す
(新大阪発の、もう1枚の新しい片道乗車券ができる)
・「片道」以外の乗車券になる
(後述する「往復」か「連続」の道を歩むことに)
運賃の計算はまたイチからやり直しになります。
ルートがぐるっと1回転してもOK?!
ここに、1枚の
へんてこな片道きっぷがあります。
どういうこと?!
※町田(東京都)から町田の片道きっぷのルート図。
図にしたときに線が重なっている箇所が無いので、最後に町田駅まで向かっても片道の条件は維持したまま。
このように
「大きく輪を描くようなきっぷ」
でも、片道きっぷとして成立することができます。
「片道」以外の種類のきっぷはどんなもの?
「片道」への理解をより深めるため
「片道」以外の種類のきっぷについても見てみましょう。
「片道」の対義語「往復」の意味は?
「片道」よりはイメージしやすい
「往復」。
「往復」とは
「A駅とB駅の間を移動する際
行きと帰りで、全く同じルートを通るきっぷ」
さらに厳密に表現すると
「A駅~B駅間で、間にあるすべての駅を2回ずつ通るきっぷ」
これが
「往復」の正確な意味です。
と、結果的に
「行きと帰りのルートが全く同じになる」
というわけですね!
「片道」にも「往復」にもなれない「連続」
「同じ駅を2回通らない」
のが片道
「すべての駅を2回通る」
のが往復
だとすれば
他に考えられるのは
「全てではないが、一部の駅を2回通る」
パターンです。
この
「片道」にも「往復」にもなれなかったきっぷのことを
「連続きっぷ」と呼びます。
※「東京駅から富士駅まで向かい(東海道本線)、富士駅から富士宮駅に寄り道して(身延線)、再び富士駅に戻り静岡駅まで(東海道本線)」向かうルート。
この場合「富士~富士宮間だけ」2回駅を通ることになる(この区間だけ線が重なる)
この場合
「東京から富士宮」
「富士宮から静岡」
2枚のきっぷが、2枚1組で発券されます。
「連続」ってなにそれ?おいしいの?
JRのきっぷの中でも地味な存在である「連続きっぷ」のメリットなどについては
この記事で詳しく解説していますよ!
>>>地味ぃなJR「連続乗車券」の意味とメリットとは?
「片道きっぷ」で、魅惑の激安往復旅行?!
片道の方がきっぷ代が安い!?
まずは
こちらの2つの図を見ていただきたい。
大阪⇔静岡の往復
片道あたり376.2キロ
往復で752.4キロ
運賃は
往復で12760円
(片道6380円)
大阪→郡山(福島県)の片道
783.1キロ(東京経由)
運賃は11000円
(新幹線に乗るために必要な特急券の値段は別)
大阪→郡山の方が距離長いのに、大阪⇔静岡の往復よりきっぷ代の方が安いよ?
どうして・・・?!
601キロ以上で「片道」の本領発揮!
JRのきっぷ代は
出発駅と目的地の駅の間の距離によって「階段式に」決まります。
JRにおいては
601キロ以上の超長距離では
プラス200キロごとに
運賃が1540円ずつ上がる
という規則性があります。
(本州の幹線の場合)
<JRの片道乗車券運賃>
601キロ以上640キロまで
9790円
801キロ以上840キロまで
11330円
1001キロ以上1040キロまで
12870円
1201キロ以上1240キロまで
14410円
(JR本州幹線運賃表より、消費税10%時)
厳密には
40キロごとに運賃が少しずつ上がってます。
運賃表を見ると
200キロ増えるごとに、1540円ずつ運賃が上がっているのが分かりますね。
大阪~名古屋間、大阪~岡山間、東京~静岡間などに匹敵しますね。
かなりお得です!!
このように
距離が伸びると運賃がだんだん割安になる事を
ムツカシイ言葉でいうと
遠距離運賃逓減制と呼びます。
「往復」より安い「片道きっぷ」
なぜ、大阪→郡山の方が
距離が長いのに運賃が安かったのか?
大阪→郡山は、片道の距離が600キロを超えています。
なので、割安の運賃になったのですね。
いっぽう
大阪⇔静岡は、片道あたりの距離が400キロ足らず。
600キロには遠く及びません。
「それほど割安でない運賃」×2倍
になっているので
結果
大阪→郡山の運賃の方が安かったのです。
ここから導き出される
結論は・・・?!
「往復」より「片道」の方が安い!!
(多少片道の方が距離長くても)
ようこそ「一筆書ききっぷ」の世界へ
さきほどの
「町田から町田まで」の
乗車券を、覚えていますか?
輪を描くようなルートになっていましたね。
1枚の片道きっぷで
町田駅を出発して、町田駅まで帰ってくることができます。
1枚の片道きっぷだけで
旅行ができるんですね!
この事と
「似たような距離なら、片道の方がきっぷ代が安く済む」
を組み合わせると
導き出される
答えは・・・?
「単純に往復するよりも
(多少遠回りすることになっても)1枚の片道きっぷで旅行するほうが、きっぷ代が安く済む!!」
※大阪を出発し、名古屋・東京・高崎(群馬)・長野を経由し、ぐるっと1周して大阪まで帰ってくる一筆書ききっぷ。
単純な大阪⇔東京の往復運賃が17500円(消費税8%時代、新幹線経由)だったので、それに比べて3680円も安かった。
まさに一石二鳥ね!
この
「一筆書ききっぷ」こそ
片道きっぷの
最大限の有効活用法なのです!!
もう少し詳しく教えてもらわないと・・・
この一筆書ききっぷについては
なかなか奥深いので
別の記事で
さらに詳しく解説しています!
一部、今回の記事と内容が重なりますが
興味のある方は、ぜひ覗いてみてくださいね!
>>>往復より片道がお得?JRの「一筆書き切符」の仕組みとは?