まずは、こちらの2つの図を見ていただきたい。
大阪⇔静岡の往復
片道あたり376.2キロ
往復で752.4キロ
運賃は
往復で12760円(片道6380円)
大阪→郡山(福島県)の片道
783.1キロ(東京経由)
運賃は11000円
(注・新幹線に乗るために必要な特急券の値段は別)
あれ?
大阪→郡山の方が距離長いのに、大阪⇔静岡の往復よりきっぷ代が安いよ?
なぜなんでしょう?
なにを隠そう、この秘密は
「運賃逓減制」
に隠されているのです!!
(正式名称は「遠距離逓減制運賃制度」ですが、長ったらしいのでここでは「運賃逓減制」という言葉を使います!!
「運賃逓減制」の意味は?
まずは
ひとつひとつの言葉の意味を確認します。
運賃・・・乗車券の値段
(特急券などは「料金」と呼ぶ)
逓減・・・徐々に減っていく、という意味
つまり
「徐々に運賃が減っていく」
制度ということです。
具体的には
「鉄道など乗り物の運賃が、長距離になればなるほど割安になる(1キロあたりの値段が安くなる)」
ということ。
JRにおいては
601キロ以上の超長距離では
プラス200キロごとに、運賃が1540円ずつ上がるという規則性があります。(本州の幹線の場合)
601キロ以上640キロまで
9790円
801キロ以上840キロまで
11330円
1001キロ以上1040キロまで
12870円
1201キロ以上1240キロまで
14410円
(JR本州幹線運賃表より、消費税10%時)
それぞれ
200キロ増えるごとに、1540円ずつ運賃が上がっているのが分かりますね( ≧∀≦)
単純に200キロの距離のきっぷを買うと、運賃は3410円なので(大阪~名古屋間など)
かなり割安になっていることがわかります!
601キロ以上の超長距離運賃の計算は
9790円+【(キロ数-600)÷200×1540】
で、おおよその近似値を出すことができます。
(9790円は、601キロ以上640キロ以下の運賃)
例:2500キロの運賃
9760+【(2500-600)÷200×1540】
↓
9760+【1900÷200×1540】
↓
9760+【9.5×1540】
↓
9760+14630= 24390円
運賃表で
2481キロ以上2520キロ以下の運賃を調べると、24310円(80円の誤差)
「運賃表調べるのが面倒くさいけど、なんとなくざっくりとした金額をすぐ調べたい!」
時には、おすすめです( *´艸`)
運賃逓減制の効果が発揮されるのは、片道の距離がポイント!
運賃の計算は
・どこかの駅で引き返す
・経路がぶつかって、二度同じ駅を通る
このどちらかになると
そこで、距離の計算がいったん0に戻ります。
これを「運賃計算の打ち切り」といいます。
そして、再び一から距離の計算が始まるのです。
※「経路がぶつかって、二度同じ駅を通る」の具体例。
「東京から静岡へ行く途中に、富士宮やきそばを食べたくて富士宮へ寄り道」
というパターン。
富士宮で折り返すカタチになるので、いったん富士宮で運賃計算が打ち切られる。
東京→富士→富士宮の距離で計算したきっぷ(2640円)と
富士宮→富士→静岡の距離で計算したきっぷ(860円)の2枚が発行される。
(合計3500円)
「東京→富士→富士宮のきっぷ」と「富士宮→富士→静岡」のきっぷは
・片道乗車券2枚
・2枚1組の連続乗車券
この2つのパターンのどちらでも発行できます。
連続乗車券にしたほうが、きっぷの有効期間が増えるなどのメリットがあります。
詳しくはこの記事を参照
>>>地味なJR「連続乗車券」の意味とメリットとは?
大阪⇔静岡の往復の場合
大阪から出発したとすると
静岡駅を折り返した時点で距離が0に戻り、また一から計算がスタートします。
折り返した時点ではまだ600キロには遠く及ばないので、運賃逓減効果があまり感じられませんね。
一方の大阪→郡山は
片道で一度も折り返していないので、783.1キロの距離で運賃を計算します。
600キロをそこそこ超えてるので
運賃逓減効果も得られます!
その結果
大阪⇔静岡の往復よりも運賃が安くなるのですね!
( ≧∀≦)
一筆書ききっぷで、割安な旅を!
「片道であれば、ずっと運賃逓減制の効果が続き、割安な運賃で旅行ができる」
この運賃逓減制をフル活用したものが
いわゆる「一筆書ききっぷ」です。
※一筆書ききっぷと、そのルート図。(高井田中央→岐阜)
岐阜に着くまで、一度も同じ駅を二度通ったりしないルートになっている。
経路が多すぎるため、手書きのきっぷで発行される。
関連記事
>>>増税前に!JR一筆書ききっぷ2000キロ!ラーメンまみれの旅
上記の一筆書ききっぷ(高井田中央→岐阜)は
総距離が1946.2キロ。
運賃は19660円(消費税8%時代)!!
1キロあたり約10.1円という安さもさることながら
ほぼこの切符1枚で、高井田中央(東大阪市)から
・紀伊半島を一周できる!
・兵庫の播州ラーメンの名店に行ける!
・東京観光ができる!
・水戸まで行ってスタミナラーメンを味わえる!
・長野で善光寺参り
・・・などができるのです!
とっても魅力的!
もちろん、学割も使えるので(2割引)
学生さんの日本横断の旅などにも使えそうですね!!
ぐるっと一周するような一筆書ききっぷなら
片道の乗車券で、元の駅に帰ることができる(実質、往復旅行ができる)のです!!
ただし
新幹線や特急に乗るのに必要な特急料金は、別に必要なので要注意!
片道101キロ以上のJR乗車券は、原則として途中下車ができます。
そのため、ルート上の駅に追加運賃無しで下車し、観光を楽しむことができるのです!
関連記事>>>鉄道旅行最大の魅力!途中下車とはどんなルールなのか?